03
少しの間ぼーっとしていると、会長以外の役員が席に着いてお菓子や紅茶を飲みながら談笑をしていた。
いや、顔引き攣ってるから談笑って言っていいのか定かではないけどね。
てかさ、手首がズキズキすんだよね。何故なんて分かってるでしょ。斉藤のせいだよ。
手首だけじゃなくストレスのせいか胃もキリキリとし始めて気持ち悪い。
何か寒いし。
「なぁ透」
「…な、に?」
吐き気すらも感じる中、小声で話し掛けてくる斉藤に珍しさを感じながら、気味悪くニヤニヤとする斉藤を見る。
「ほらっ、怜人ってば、俺の事ばかり見てるだろ?」
「え、」
何かと思えばそんな事!?こちとら気分悪いだからこれ以上気温を下げないでくれない!?
とは、言えないので斉藤に言われるままに会長を見てみる。
「ぁ…」
れ?
「あっ目を逸らした!やっぱり恥ずかしいんだな!!」
「え?ぁ、うん。そうだね…」
怜人は照れ屋だな!と満足そうに言って、斉藤は再び他の役員との会話に集中させた。俺は斉藤達の会話に入るつもりはない。…毎日聞き手役なんだけど。
それよりさっき何か会長と目が合った気がする。いやいや、そんな事言ったら斉藤と同じ人種になってしまう。うわ、勘違い乙。
自分の思考に呆れて小さく息をはいた。
………あー、もう痛いな
…いや、痛いんですけど本当に。斉藤馬鹿じゃないの?人を転ばせやがっといて「鈍臭いな!」って何だよそれ。謝れよ。ふざけんなマジで。
考えだしたらイライラが積もってく。
「…ーっ」
…あ、駄目だ。軽く突いてみたけど使い物になんねぇ。怪我したのは左だから「左で良かったねー」なんて言うけど、ぶっちゃけ俺左利きだからね。
……………え?マジで?
ちょっ俺一応学年首席だよ!?勉強出来ないじゃん!あ、いや、斉藤に連れ回されている時点で今回のテストは絶望的だけど!!
…萎えるわー。本当に涙が出るわー。
「あ!」
ガタという音と共に斉藤の嬉しそうな声が耳に響いた。うるさいんですけどー
「怜人も来たのか!しょうがないな、特別に俺の隣に座らせてあげるぜ!!」
…え?会長が来るの珍しくない?てか、初めてじゃない?…隣って斉藤、お前端じゃん。俺に除けってかー?別にいいけどさー。こっちは精神的に参ってるんだよ。
どうせ斉藤に「ほら透は別の所に座れよ!怜人が座れないだろ!?」って言われるだろうから、言われる前に退くけどさ…
「…どうぞ」
席を外して会長に言えば、会長はじっと何故かこっちを見ている。
「会長様?」
早く座れよとは言えないので呼べば、会長は手を伸ばして来た。
……え?
は?
会長に腕引っ張られたんだけど何て状況なのコレ?
会長の胸に飛び込む形になっちゃったんだけど何事?!
モドル