野崎くん眞魔国へ
 


「……」


パシャンと水の音がなり、つい先程とは違う風景と髪から滴る水に何が起こったのかと無表情ながら考える。

彼、野崎梅太郎は先程まで自室で近付いてきた〆切りに間に合わすために原稿とペンを手にしていたはずだ…

墨を使おうとした時、墨に手が掠ってしまい床に零れ落ち、しまったと思うのもつかの間。気が付けば、知らない場所に来ていた。


キョロキョロと見渡せば外国にありそうな風景に少なからず目を輝かす。


「新キャラを取り入れるのも面白いな。そうだ、そいつ金持ちにしよう!」


そうと決まれば、ここの地主にアポを取って撮影をさせて貰わねば!

野崎はそう考え、少し冷たい水から体を出し、頭や肩に乗っている葉っぱを払う。

噴水のような所から足を出し、水から解放された瞬間、近くからバタバタと多数の人の足音が聞こえた。

そちらに目を向ければ、白い軍服のような物を纏い槍をこちらに向け、野崎を目にするや否や目を見開き、どこかの国の言葉を話していた。


「あの、」


声を出せばビクリと反応し、されど冷静に何かを問いただすような口調でこちらを見て何かを言う。

しかし、何を言っているのか全くさっぱりで首を傾げる。

でも、まあ取り敢えず


「この場所の撮影許可を下さい」







野崎くん、眞魔国へ
(双黒の人間だ!)
(ウルリーケ様と猊下をお呼びしろ!)



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