十字架とシャベル、つまりは排他的墓地


最後に姿を捉えたのは
何時の話だろうか


やはり
記憶の中の貴方と
現在の貴方は
大きく変わっているのでしょうね

見ることができぬ時の流れに
ついてゆけぬもどかしさ



嗚呼
忘れたくはないのに
人間は浅ましいもので

何時の間に
大切な記憶を埋葬したのか

誰が頼んだわけでもないのに



 掘り起こしてしまおうか

シャベルを片手に
幾多もの十字架の前に立つ



さくり、


けたたましい背徳感に襲われる
気付かないふりをしようか


さくり、


思い出したくない
白骨化した記憶が蘇る

 違う
 これじゃない


さくり、


まだ新しいのか
少しだけ腐敗が進んだ記憶

 これでもない


さくり、
さくり、さくり、
  さくり、
 さくり、   さくり、
      さくり、
さくり、
     さくり、
 さ
       く
      り
   

手を止めた

ふと背後に響いた足音に
悪寒が、した

泥にまみれた顔のまま
振り向いた


 何を、しているの

忘れかけていた
貴方が居た


後悔が躯を蝕んでゆく

弁論の余地も無い


 すっかり
 変わってしまったんだね

貴方もね、
と言いたかったが
唇は動いてくれなかった



幾多もの十字架の下に転がる
幾多もの亡骸


それらを遠くに見つめて
彼は苦笑した







さくり、

( 埋めるの、
  手伝ってあげようか?)

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