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呑み過ぎた夜に俺は今、未だかつてない程に、動揺している。
目が覚めたら、俺の身体の下に蜜柑がいて。二人で蜜柑んちの廊下で寝ていたことに気付いた。
しかも、右手に温かい湿った感触。俺の指が、蜜柑の下着のさらに奥…、いわゆる女の子の大事な場所…、ナカに挿入っていた。
な、なんだ、コレ…。俺、シたのか…?
いや、状況的には、まだ指…だけ…?
いやいやいや…!
"指だけ"って、なんだよ…!
それでもアウトだろ、これは…!
サーッと頭から血の気が引いていく。昨夜は大学時代の友人と酒を飲んでいたはずだ。でもって、強めの酒を勧められて。
そしてその後…、記憶がない。
腕の中の蜜柑の顔を覗き込む。こちらの動揺をよそに、気持ちよさそうに寝息を立てている。
つーか、コイツ…
俺の指が挿入ってんのに、なんでスヤスヤ寝れるんだよ…
いや、今は穏やかに寝ていても、起きたらこれは絶対怒るよな…
俺の長年の片思い、伝えるどころか、ここで幼馴染みの関係すら終わる気がした。目の前が真っ暗になる思いで、それでも意を決して、俺は蜜柑に声を掛けた。
-
「蜜柑…さん。ごめん、ちょっと、起きて…ください…」
「んん…。弘輝…?もう、朝…?」
「あ、あの…、その…」
ボーっとした顔で蜜柑が俺を見る。まだ寝惚けているのか、感情が読めない。
「ご、ごめん…、その…っ、俺…、昨夜の記憶が…、あの…、これ、どういう…」
「うう…、背中、痛…」
「あっ、待て…っ、いま動いたら…っ」
「ふぁあ…ッ!?」
身体を起こそうと蜜柑が動いたことで、俺の指がナカで擦れ、蜜柑から嬌声が上がる。聞いたことのない甘い声に下半身が反応しそうになるのをなんとか抑えると、蜜柑は急に覚醒したのか、口を手で押さえて耳まで顔を赤く染めていた。
「あの…っ、ごめん、俺っ、昨日…っ、その…、最後まで、シた…?」
慌ててそう聞いた俺に、真っ赤のまま、蜜柑はフルフルと首を左右に振る。少なくとも行為自体は未遂で済んだようで、僅かながらホッとする。
「あのね、弘輝…。聞きたいことが…、その…あたしのこと、本当に好きなの…?」
「…っ!?」
急な問いにカァっと顔が熱くなる。昨夜酔って何を口走ったのか、そして何をしてしまったのか、記憶はないが、好きでなければ身体に触れたりはしない。
「ごめん、黙ってて…!幼馴染みの振りしてたけど、俺ずっと蜜柑のこと好きで…」
「ずっとって、いつから…?」
「い、いつからって…」
隠してきた思いが尋問みたいに暴かれていくが、もはや俺に拒否権などない。
「多分…、幼稚園…ぐらい…?」
「ふふ。そういえば、昨夜、幼稚園のお泊り会で、あたしがヒーローだったって言ってた」
そう言って蜜柑が可笑しそうに笑う。
お泊り会って…、一体何の話をしてるんだ、俺は…
「昨日はびっくりしたけど、あたし、嫌じゃなかった」
「え…?」
「キスも…、その…、身体を、触れられたのも…」
そう言うと、蜜柑が恥ずかしそうに俺を見る。
「あのね、今日から幼馴染みやめて、あたしと付き合ってみない…?」
それは、まさかの大逆転。可愛すぎる蜜柑と幸せすぎる展開に、目眩がした。
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「こんな幸せ、あっていいのか…」
「大袈裟すぎない?弘輝ってば」
そう言って蜜柑が笑う。この笑顔も俺のモノとか、最高すぎる。そして、健全な男子として、気になることが一点。
「ちなみに、昨夜、俺が何をしたのか、教えて欲しいんだけど…」
「え…っ!? な、なにって…、た、大したことは…」
口篭りながら、蜜柑がカァっと頬を赤くする。蜜柑のナカに挿入れたままだった指が、急に締め付けられていた。
「この俺の指は、蜜柑のナカで何をシたの?」
「ひぁあ…ッ!?ゆ、指っ、曲げちゃ、ダメ…っ」
「そんな声で、昨夜も鳴いた?」
「ち、違…ッ!や、やだ…っ、ひぁ…ッ、ソコは…!」
「ね、ちゃんと教えて。昨夜、俺の指でイった?」
「そ、それは…っ!ひぁ…ッ、待…っ、そんな、擦っちゃだめ…ッ!あっあぁあん…ッ!」
あぁ…。甘すぎるこの喘ぎ声…。
当面の間、俺は自分を止められる気がしない…
End
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