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休み時間、うちのクラスに顔を出した及川は、そのまま一直線に緑野の席へ向かい、ちょっかいを出している。

緑野の表情を見ていると、良かったなと思う。
あの笑顔が、俺はたまらなく、好きなんだ。

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「来週の学年末試験、勝負しようぜ」

テストの一週間前、駅で待ち伏せして及川に声をかけた。

緑野も及川も、お互いに想い合っているのはわかっていた。緑野が勝っても負けても、付き合うに決まっていた。

それでいいと思った。緑野は及川を好きで、及川は軽そうだけど、誰よりも緑野を大事に思ってる。だから緑野の背中を押したんだ。

だけど及川にただくれてやるのも面白くないから、最後に小さな意地悪をしてやった。

「不戦勝なんかじゃなくてさ、俺ちゃんと及川に勝って、緑野と付き合いたいんだ」

わざと、緑野が俺を選んだかのような言い方をした。

「付き合わせたくなかったら、俺が鈴木くんに勝てばいいわけだ。いいね」

「じゃあ、決まりだな」

その結果、及川が二位、俺は三位。
2点差の(僅差だが!)、敗北だった。

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