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あいつ…瑠未と契約を結んだのは、ただ単にいつでも精気を吸える悪魔が欲しかったからだった。
もちろん、たまたま見つけた悪魔が瑠未だっただけで、あいつじゃなくても悪魔なら誰でも良かった。事実、機会があれば瑠未以外の悪魔を何度か抱いてもいたし。
もちろん、そこには恋だの愛だのそんなもんは当然なかった。ただ抱いて精気を吸って魔力が使えるようになればそれで良かった。
でも、瑠未を繰り返し抱いてるうちに芽生えた感情…
それが、いとしさ…
精気を吸うために、無理矢理、力で抑え込んで瑠未を抱いてたけど…
心も手に入れたい。
気付くとそう思うようになってた。
悪魔に対してこんな気持ちを抱くなんて、始めは気のせいかと思った。
いや、気のせいだと思いたかったのかもしれない。
だって、瑠未は悪魔で俺は天使だ。神聖な天使が悪魔に惚れるなんて普通じゃありえない。
天使の中にはごくたまに、天使の女に相手にされないからって悪魔を無理矢理自分の女にするヤツもいるけど、俺は別にそういうわけでもない。
正直、近寄ってくる女も少なくはないし、天使界で相手を見つけようと思えばかなりより好みできる立場にいる。
でも瑠未が召喚獣(この場合、召喚草と言うべきか?)に犯されかけているのを見て、尋常じゃないほどに頭に血が登った。
それで初めて、瑠未への気持ちをしっかり自覚したんだ。
それでも瑠未は悪魔で俺は天使。そのことは変わらない。
悪魔に恋した天使か。
こーゆうのを堕天使っていうのだろうか。
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