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「なぁ、浩平」

「んー?」

「あそこにいんの、蜜柑ちゃんじゃね?」


昼休み、アイスを食いながら窓の外を見ている親友、拓人の指差す方向を言われるままに見ると、蜜柑と知らない男が中庭の草陰に立っていた。

3階の廊下から見下ろしているせいもあり、距離があって声は聞こえない…

誰だ あいつ…。
つか、蜜柑、すげー楽しそうに笑ってる…

訝しく思いながら中庭の2人を見つめた。

「あいつ、バスケ部のキャプテンだよ。俺らの1コ上で確か…谷口とかいうヤツ…」

中庭の2人を見ながら拓人が言う。

「何の話してんだろーな。まぁ、蜜柑ちゃんモテるからなぁ…」

そう言って意味深に俺を見る拓人。

中庭はうちの学校では絶好の告白スポットで、ここで告くると成功率が云々…(詳しくはよく知らねー)なんていう、女子が好きそうな言い伝え(?)がある場所だ。

そんな場所に、彼女の蜜柑が俺以外の男と2人いて、しかも2人とも楽しそうに笑ってて。

拓人が意味深に俺に視線を向ける理由もなんとなくわかる。

「なんだよ、拓人…」

「妬いてる?」

「誰が妬くか」

「妬いてるくせに」

「うるせー」

俺はそう言いながら、見透かしたように笑う拓人のケツを軽く蹴った。

「邪魔しに行かねーの?」

「行くわけないじゃん」

「行けばいーのに」

そう言って拓人はもう一度笑った。

…冗談やめろよ。これくらいで邪魔しに行くなんて、普通にダサいし。

つか、それって蜜柑のことすげー好きみたいじゃん。

まぁ…
すげー好きだけど。

でも、そんなとこ見せんのは正直、格好悪い…

10分後、教室に戻ってきた蜜柑は俺と目が合うなり、いつも通り笑いかけてくれたけど、あの谷口とかいう男が蜜柑と何の話をしていたのかが気になって、午後の授業は浮わの空だった。
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