ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい、許してください。

どうしても、私は此処を潰さなければならないのです。



  * * *





イタリアのとある場所に、夜中だというのにとても騒がしい屋敷がありました。





――敵襲だ!

――問題は無い、相手は一人だけだ。

――ボスッ!!強すぎます!!あれは、アレは、まるでッ!!!!!!!!!






屋敷の中ではとても激しい戦闘が行われ、

一夜にしてその屋敷の中に居た人間は全て死に、

屋敷そのものも、紅蓮の炎に包まれて消えてしまいました。


犯人は見つかる事も無く、

また、そのことについては世間で騒がれることなく、

この事は闇の中に葬られることになりました。








「……ごめんなさい、私が、殺さなければ……」



貴方達はもう少し生きられたでしょうに。



まだ黒く、焼けた跡が残る場所でそう呟いた。

本来ならば、目の前には大きな屋敷が建っていた。

けれど、それは一夜にして崩壊してしまった。

私の、手で。

隣に行儀良く座っている相棒のリリィがくぅん、とまるで私を慰めるように鳴いた。



「ごめんね……そうだね、私が決めたことだもの……

 最後まで、頑張らなくちゃいけないよね…………」



リリィの頭をそっと撫でて、帰ろうと笑ってみせる。

リリィはまだ悲しい顔をしていたけれど、その言葉にワン、と一度だけ返した。


少しだけ焼跡を振り返って手を合わせてからリリィと共に踵(きびす)を返した。


空は灰色に染まっていて、まるで私を憐れむように、嘲笑うように見ていた。






紅い色など消えてしまえばいいのに。

(この世には赤が溢れてて、)
(とても気持ちが悪い。)



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