21 | ナノ
セトシン

「い、たいっ......!無理無理!」

悲痛な叫び。本気で痛がっているんだろう、ばんばんベッドを叩くシンタローさん。無理だと首を振って俺を見る。今すぐ止めないと叫び続けるか掴み掛かってきて止めろと凄むか。
雰囲気とか別に言わないが、これで萎えない息子はすごいと思えた。

「この、たいせっ、むりっ......!」
「体かたっ」
「足おろせっ!今すぐ!痛い痛いつる!」

けほっと咳を溢しながらも訴えてくるシンタローさんの必死さに渋々肩に乗せた足を下ろす。

「足邪魔で入れにくいっス」
「むりしぬ......。なんで萎えてねえんだよ」
「俺も分かんないっスよ......」

ぐ、と押し付ければ無いわといった顔で見られた。随分な態度だ。
それにしても体が固すぎる。今度から柔軟させよう。

「もーバックで良いだろ......」
「ヤる気無いっスねぇ......」
「ヤる気はあるけど痛いのはいやだ。つか、押し付けんな......」

足を抱えないと正常位はしにくい。かと言って毎回バックも味気ない。どうしたものか。
考えながらもぐいっと穴に押し付けてみる。息を飲んで睨んでくる顔に結構興奮した。

「おいっ......!どうすんの、バックかやめるか」
「止めるって選択肢はないっス」
「じゃあバック、......だからっ、押し付け、んな......っ」

入れて欲しくなるからって言えば良いのに。まあ俺も入れたいけど。
バックしかないかなーと思うが、手が無い訳じゃない。抵抗されるかも知れないが。
ま、いっか。

「セト?」

シンタローさんの熱っぽい声が俺を呼ぶが、笑顔だけ返しておく。あ、なんか気付かれた。
抵抗するために伸ばされた手を取って、もう片方の手で腰を掴んだ。細い。取った手が離せと暴れるから離してやる。が、すぐに二の腕を掴んだ。

「せっ......!?っ、ひっあっ......!っ......!っんっ......っ、くそっや、ろっ......!」
「っあー、......っ、そういう顔、良いっスね」

二の腕を思いっきり引っ張って一気に入れ、起こした。一気に入ってきた性器にぶるぶると震え、どうにか堪えた喘ぎの苦しさに俺の背をバリバリと容赦無く引っ掻く。
少し喋っただけでもふうふう息を荒げ、俺をぎろりと睨む。ぴくぴくと名残で肩を震わせるのが可愛くてつい笑ってしまった。

「バックより良いっス」
「あっひ、んっ......!おま、ぃあっ」
「あ、このまま騎乗位するっスか?」
「やるか、ぁっ!」

断られてしまった。まあこれも少し辛いんだけど。ぶっちゃけ動きにくい。やっぱり柔軟か。今日は我慢してもらおう。
動かなくなった俺に安堵した目は奥がどろ、っと溶けてる。物足りないって言っている。

「ふ、はぁ......っ」
「シンタローさんに謝っとくっス」
「......?」
「やっぱこれ動きにくいから」

ぐい、と膝の裏に手を入れる。もうやだって顔と目があった。

「正常位で」
「んんっ、ぃっ......!っ!っ!」

こて、と押し倒せばシンタローさんは目を見開いてさっきの爪痕を抉った。痛い痛い。一瞬抜いて一気に貫く。声になら無い声が楽しくて、思わず顔が緩んだ。
びくびくっと体が跳ねる。二度目の衝撃はさすがに堪えたのか、俺にしがみついたままずっと震えている。この様子だと軽くイったか。

「も......さい、てっぇ......ぁっい」
「まあまあ、イッたんだから気持ち良かったんスよね」
「いっづ、ぅ......!ひっ!うごく、なあっあ」
「慣れるっスよ」

構わず動いてぎゅうぎゅう締め付けてくる肉壁を抉る。背が相変わらずバリバリ痛い。
あー、ホント可愛い。痛みと前立腺の快感で喘いで顔を歪ませる。抵抗のつもりか睨む目は快楽の色と混じって催促のようにも見える。
卑猥な音と声。それだけの空間。

「ほっ、と、んあっひっ!さいてっんんっ......!いあっ!づっ」
「気持ちいっスか?」
「いてぇ、っあ、そこっ」
「痛気持ちいっスか」

反論するように爪を立てられた。顔を蕩けさせてそこそことおねだりしている状態じゃ反論にもならないけど。
腰を掴んでそこと言われた場所を遠慮無く擦る。ついでに先走りと白濁の精液を混じらせた性器も触る。
痛いのも混じっているからか、いつもより喘ぎ声がデカイ。

「シンタローさんってエム......」
「っざけん!ぁあっあっ、ぃあっ」
「そんな喘いでちゃ説得力無いっス」

ぐいっと後頭部を掴んで引っ張る。唾液を溢しながら喘ぎを吐き出す口に舌を突っ込んだ。強めに舌を噛んで、歯列をなぞって、吸って。荒らすだけ荒らす。喘ぎと息が口の端しから漏れていくのさえ飲み込みたい。
無理な体制での痛みに、シンタローさんの薄い腹がぴくぴくひきつっているのが分かった。苦しさを訴えるように爪が食い込む。仕方無く離してやる。

「かはっ、はっ!しぬ......」
「簡単に殺さないっスから平気」
「も、やら......ぁ、あっあっ」

快楽でどろどろになりながら何を今さら。揺さぶって擦って、もっとって早くねだれば良い。


「シンタローさん立てるっスか?」
「立てるように見えるのか、節穴くん?」
「あとでご飯持ってくるっス」

ベッドから落ちて腰を押さえるシンタローさんを抱上げてベッドに座らせる。ぱた、と倒れるシンタローさんが水もと小さく言うのも聞き逃さない。

「これから痛いのを感じてセックスするか、柔軟するか」
「バック」
「無理矢理正常位」
「......柔軟」

半ば脅しのようではあるが、シンタローさんもなんやかんや言ってこない所を見ると正常位は気に入ったようだ。
ううと唸りながら枕に顔を埋めるシンタローさんの頭を数回ぽんぽんと撫でる。

「じゃ、しばらくは立ちバックで」
「ああもうホントお前最低なんでこんなのに惚れたの俺」
「シンタローさん趣味悪いっスね」
「自分で言うなよ......」

嘆くように目を伏せたシンタローさんにお互い様という言葉は伏せておいた。
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