147 | ナノ
セトシン

 ぐ、と膝の裏を再度持ち上げる。眼下の淫猥さはとても興奮するが、それだけで達するほど溜まってはいない。刺激が少なく、じわじわ高ぶる興奮だけ、から回っている。
「シンタローさん」
 頭の奥がじんと痺れて、セトの目の前をぼやけさせた。持ち上げた両膝をぴったりと引っ付けるが、それでも足りない。炙られているようで、もどかしい。
 ぐち、とシンタローの出した先走りが粘った。ひくっと跳ねた腹、のろりと向けられる目。涙が瞼を濡らし、汗と混じって髪を肌に張り付かせている。
「もうちょっと、力」
「ふ、う……」
 膝から太ももへと手を滑らせ、両側から軽く押さえつけた。強張った肉が挟み込み、ぞくぞくする。
「も、イけよ……」
 囁くような細い声で訴えてくるが、それには貴方の協力もいるのだと。セトはしつこく熱が抜けないままで、シンタローは熱に浮かされて。
 精を出せば倦怠感に脱力する、それは同じ男としてセトも痛いほど理解している。だが、こと今回の行為では厄介なところだった。そもそもシンタローはセトより早い。それでタイミングなど合うわけもなく、セトは散々焦らされていた。
 挿れないでほしいとの言葉を叶えての、股に挟んでもらう擬似性交だが、シンタローが疲れやすくすぐに脱力するためなかなか長く締まらないのだ。
 それでも出す間際になると強張って締まるのだが、先に出されて脱力される。それを繰り返され、セトはたまったものじゃない。
 正直挿れたい。相手はほぼ前後不覚、もういいのではないか。
「あっ、く」
「シンタローさ、もうむり……」
 どろっと欲情が溜まりに溜まって溢れ出る。
 最初より色が薄いそれが腹を濡らし、ゆるりと撫でれば過敏に震える肌。中途半端に発散できないと、目の前の淫らさにいろんなものが振り切れる。
 セトはシンタローの太ももを押さえるのをやめ、すいませんと呟いた。
「っ、やめ」
 ぼうっと天井に向けられていた目がセトに降りる。その目が訴える言葉は言われずとも分かったが、我慢の限界という言葉は強い。いつもならその視線で止まる行動も止まらない。
 膝に唇を寄せ、手を下に落とす。
「いれ、んな……」
 シンタローが伸ばしてきた手を取り、セトはぽかっと我慢がなくなって穴が空いた脳で考える。叶えられないが、せめて痛くしないようにすべきだと。
 手を握り、ふへっと口を緩めた。血肉が沸騰して馬鹿になる。びくっとセトの笑みに手を引っ込めようとしたのを強く引き止め、がぶりと膝小僧を噛んだ。
「イかせてください」
 焦らした分、責任持って、満足するまで。
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