126 | ナノ
シンセト

恥ずかしさで震えているのが分かる。思わずにやりと口が歪み、ごくりと飲み込んでしまった。椅子に座るオレの前で地面にぺたりと座っているセト。俯いているせいで顔は見えない、見えるのは黒い髪。くしゃりと髪を撫でると、隠れていた耳が現れ、その赤さに堪らなくなる。
つなぎの前が開けられ、ズボン部分を握り締めている。髪を撫でていた手を頬に滑らせる。催促するように撫でるが、顔は上がらない。

「なんでもするんじゃねえの、変態」

びくっと大袈裟なほどセトの肩が跳ねる。ようやく重い頭を傾け、オレを見上げるセトは歯を食い縛って懸命に泣くのを耐えていた。机に置いてあったセトのミネラルウォーターを飲む。ふと炭酸が飲みたくなった。

「し、したこと、なっ」
「したことあったら困るけど、なんでもするからって言ったのはそっちだろ」
「そう、っすけど......っ」
「女物下着穿いてます、なんて変態な性趣味、バレたくないんだろ?」

かあっ、とセトの顔にいっそう赤みが増す。それはとか、違うとか、もごもごとした声はちゃんとした反論になっていない。
開いたつなぎの中、タンクトップを脱いだその胸には女性下着がつけられている。紐はぎちぎちで、可愛らしいそっれは似合っているとはいえない。

「可愛らしい趣味だな」
「っ......!」

いよいよ泣き出したセトにぞくぞくっとした震えが頬まで走ってくる。似合ってないし違和感の塊だが、ひどく興奮する。
借りた漫画を返すために着替え中に入ってしまったオレにはよくやったと言いたい。なんでもできるように見える人間が、こんな趣味だとは。目撃してしまったオレを部屋の中に引っ張り、何でもするから黙っていてくれ、そう土下座しそうなほどすがってきたセト。チャンスだと思った。

「それ以上渋るんなら、これ充電してエネにばらまかせてもいいんだけど」
「な?!」
「オレに損なことは一個もないしな」

切れたケータイを振って見せると、セトは慌てて膝にすがりつく。ああ悪役だなとは理解しているが、少し辛いのだ。どうする、と促すとセトは震える手で意を決したようにオレのズボンに手をかける。

「下手、だからって......」
「しないしない」

不安げに見上げたセトの髪を撫で、ケータイを仕舞った。無害を装うには遅すぎるほどだが、セトはあからさまにホッとした顔をしてオレの手に擦り寄る。無意識なんだろうか、凶悪だ。
やっとうーうー唸りながらズボンを下ろし、オレの性器を取り出す。若干起っているのにつっこむほどセトに余裕はないらしく、目の前のそれにきょどきょどしている。
今すぐにでもやっぱり止めたいと言いたいのか、口が開いたり閉じたりを繰り返す。しかし一回ぎゅっと口を閉じて、やり易いように近付いた。

「とりあえず舐めて」
「はい......」

近付き、どうしたらとオレを見上げるセトに指示した。恐る恐る舌を伸ばし、舐め出すセトにぐらぐらする。男だからか、どういう場所がいいかは分かっているらしい。亀頭を重点的に舐められる。
不満をひとついうなら、ブラジャーが見えないのは少し残念だった。

「先くわえて、歯は引っ込めろよ。絶対当てるなよ」
「は、い」
「他は手で」

ぬるりとした口の感触、舌がひたりと当たって動く。手の意味はよく分からなかったのか持つだけになっているのをしごいてという言葉でやっと動かす。カリの部分を舐めて、やっと吹っ切れてきたのか動きはぎこちなくも段々遠慮がなくなってきた。
ちゅう、と吸われ、びくっと手が震えた。はっ、と息を溢すと、見上げたセトが急に顔を赤くする。どうかしたかと頭を撫でるとさっさと戻ってしまった。

「ふっ、っ......出すから、飲まずに口の中に」
「ふ、むぅ?」
「吐くなよ?」
「んぐっ」

ぐっと後頭部を押さえて全部くわえさせる。急な行動で残されていた手がタマを押す。舌が裏筋をぞろ、と舐め、せり上がるものを素直に吐き出した。犬みたいなはっはっ、と息が出る。
口から萎えた性器を引き抜くと、セトは言いつけ通りに口を閉じる。顔をしかめて耐えているセトを見ながら、置いたミネラルウォーターのペットボトルを手に取った。恨めしげな視線をふと向けられる。
その水を口に含み、セトの口を指で少し開いた。ねとりとした液体が指に少しつく。その口にオレの口を当て、水を流し込んだ。慌てて後退しそうになるセトの腕を掴み、全部口に含ませる。

「飲め」

口を離して命令すると、セトはゆっくりと精液と一緒に飲み込む。もう一回口に含み、また流し込むと、今度は抵抗せずに大人しく飲み込んだ。それを数回繰り返し、セトに口を開かせ指で残っていないか確認する。

「もうないか?」
「らい、っふ」

指を抜くとけへっと小さな咳がセトから出た。はーはーと息は荒く、顔が赤くなっている。自分の姿を忘れているのか、下着を隠そうと無駄な動きはしていない。
もう一口分しか残っていない水を口に含み、顔を近付ける。求めるように口を開いたセトに流し込み、飲み込んだのを確認した。しかし飲み込んでも離れないオレにセトは潤んだ目で不思議そうに見る。

「ん、む、しんたろ、さん......?」

閉じた口を舌でなぞる。不思議そうに呼んでくるセトを無視して、舌をいれた。まだついていけてないセトはされるがままだ。上顎を舌で撫で、舌同士を絡める。首の裏を撫でたり、舌を軽く噛む。閉じた瞼に、睫毛が震えていた。
経験がなくてもやり方が分かればいい。

「ふ、んぅ......っ、む、ぷあっ」

セトははふはふと合間に懸命に息を次ぐ。くて、と膝の上に頭を乗せてくるセトの垂れていた唾液を拭う。

「しんたろ、さん、なれてない、っすかぁ......」
「キスなんてしたことねえ」
「きもちよか、た......」
「......何より」

うっかり起ちかけた。萎えたばっかでばきばきに起ちそうとかどれだけ溜まっているって話だ。セトもセトだろう、抵抗もしない、むしろどんどん積極的になっている気がする。くそ、かわいい。

「......もう一回するか?」
「もっかい、......します」

ブラジャー見えてますよセトさん。もうほんと、ありがとうございます、だ。首に腕を回してくるセトに小さく舌打ちし、今度は貪るように舌を動かした。背中を押して椅子に乗るよう合間に促す。ふら、と危なっかしく立ち上がり、倒れ込むように椅子に乗り上げた。もっかい、と呟くセトに望み通りキスをする。

「んあ、ぅ、ん」

漏れる息と声がエロい。上顎を撫でられるのが堪らないらしく、撫でる度びくびくと震えた。フェラだけでよかったのだが、と今さら言っても仕方ないしオレ的にはこの展開は嬉しい。
胸に手を伸ばすとブラのごわごわした布の感触。結構分厚いのだと初めて知った。開いたつなぎから背中に手を入れ、ぺたりと肌に触れる。オレの手にやっと気付いたのか、セトはぴくりと反応した。すぐに見付かったホックを少し手こずりながら外す。

「うぁ......」
「こういう構造なんだな」
「し、シンタローさ、ひっ!あ、まっ......!」

耳元で不安そうな声を出していたのを無視して乳首を少し摘まむと、声が急に高くなる。回されていた腕が更に力をこめ、すがるように手が服をぐしゃぐしゃに掴む。

「......ずいぶん敏感で」
「んあっ、や、そこやめっ」
「もしかして敏感すぎて服が擦れても感じるからとか?」
「〜〜っ、んん、あっ、あっ」

顔を真っ赤にしたセトがこくこくと何度か頷く。ならまだ代用品もあるだろうに、なぜ女性下着。くりくりと弄り、指の腹で潰し押す。敏感にひんひん啼くセトに、いよいよオレの性器はがっちがちに起った。

「なんでブラ」
「あっ、んぁや、ひん、あ、ちっ、さころ、おねぇちゃ、にいったらぁ!こえ、でっ」
「今でも使うってことは変態ではあるんだな」
「ちがっ、やぁ......!」
「違わないだろ」
「はっ、んっ、んっっ、あっーー!」

乳首だけでイケそうなくらいあんあん言ってるセトに途中で止めるなんて勿体ないこと出来るわけがない。ぐりっ、といっそう強く押し潰すと、セトの体はびくびくっと大きく震え、そしてくたりと力を抜く。そんな様子に本当にイったのかと少し驚いた。ぁ、ぁ、と微かに漏れる喘ぎに余韻に浸っているのが分かる。

「乳首でイケて気持ちよかったか?変態」
「へんたい、じゃ」
「乳首だけでイケるか普通」
「う、く......」

色が濃くなった下を触ると、しっとりと濡れた感触が指につく。ブラを持ち上げて乳首を見ると、弄ったせいで赤くなっていた。

「自分で弄ってたり、とか」
「っ!」

興奮だけじゃない赤色、最初のように震える体。図星らしいと分かって一気に興奮した。どう弄るのかと下品な考えが浮かび上がる。

「もっ、言われたのは、して......っ」

セトが耐えきれずオレの肩を掴んで体を離そうとする。椅子の上でそんなことをされ、一瞬椅子の後方ががたんと浮いた。慌てて引き戻すためにセトの腰を持って引っ張る。

「おまっ、危ないだろ!」
「っ、っ......!」
「セト?」

びくっ、震えてオレの肩に顔を押し付けた黙ったセトを呼び掛ける。降りないのか、と言いかけてオレの太ももに座り込んでいる体勢に気づいた。いやいやまさか、などと思いながらなんとなしに乗っかられている方の足を動かす。

「ぁっ、ひ......っ」

息を止めて色々なものを耐える。ぶるぶると細かく手が震えてセトにバレるかもしれないなと思った。

「セト、降りねえの?」
「お、おりまっ、ふ......んっ」
「どうした?」

セトが床に足を下ろす前に少し足を浮かせた。ぐっと押し付けるとしがみついて懸命に声を堪えている。どうやらバレていないと思っているらしい。にやける口に然り気無く手を持ってきて隠す。

「あ、まって......、んっ、は」
「えっろ」
「へ?んぁっ」
「いや別に」

ああかわいい。もう我慢できなくなってセトの腹を下に撫でていく。ぎょっとして抵抗しようとするセトに、そのまま下まで辿り着いた。

「なんで起ってんだよ」

恥ずかしさからか顔を真っ赤にして顔を俯ける。じわーっと滲んだ涙がそのまま頬に滑った。
ああもう、堪らない。
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