118 | ナノ
セトシン

ぷしゅっとプルタブを持ち上げ、ぐびぐびっと缶ビールを大きく傾けて一気に中身を飲み干していく。喉が動き、炭酸を含んだアルコールを体内へ。ふ、と飲み込む音が消えて一瞬の沈黙のあと、ぷはっと思いっきり息が吐き出され、缶の底がガンッとテーブルに打ち付けられた。アルミがべこりと加減しない力で凹み、反らされていた体はぐんっと前に倒れた。

「っおいっし〜......!」

うっすら涙目でそのまま缶を握り潰した妹に、アイドルとしてその飲みっぷりはどうなんだと言いかけそうになった。しかし多忙スケジュールの末ありつけたようやくのアルコールに感激している妹に水を注す気にもなれず、なにか言いそうになっていたカノの横腹にリモコンを叩き込んで黙らせてやった。どうやらオレの反対、カノの隣に座っていたキドも同じことをしていたようで、カノは両脇腹を押さえてテーブルに突っ伏して悶絶していた。モモはカノの様子に気付かずいそいそともう一本開けている。

「料理できたんでテーブル開けてほしいっす」
「おいカノ、テーブルに突っ伏すな、邪魔だ」
「あ、ちょキド痛い痛い!髪!髪がっ!」

セトが大皿を持ってくるとキドが遠慮なくカノの頭を鷲掴んで起こす。カノがぎゃあぎゃあ騒いでいる間にヒビヤがさっさと手早くテーブルに広がっていた新聞や雑誌を片付けてくれた。開いたテーブルにどんどん料理が運ばれる。居酒屋でバイトしているだけあって作るのも持ってくるのも早い。

「いただきます......」
「泊まらず帰るんだから腹八分目に抑えておきなよ」
「......分かった」
「キサラギ、ペースが早い」
「あう、すいません」

コノハがさっそく料理に手をつけようとしてヒビヤに注意されている。マリーはセトを手伝おうとタイミングを見ていたが、ざかざか一人でこなしていくセトを見て逆に邪魔になると悟ったらしく、コノハに続いていただきますと手を合わせた。モモはハイペースに缶を空けていこうとしてキドにストップをかけられている。
ようやくセトが一段落ついてオレの隣に座った。カノがオレの背中でセトに注いだ麦茶を差し出す。

「結局セトは飲めないまんまか」
「これでも頑張ったんすけどねえ、やっぱ苦くて。チューハイならまだ平気なんすけど」
「ま、好き嫌いはあるよね。シンタローくんはビール?」
「モモ、だからペース早いって」
「ビール。あーヒビヤ、モモはほっといてもいいぞ。そいつザルだから」

オレの言葉にヒビヤがモモから取り上げたビールを疑わしそうに渋々返す。カノが渡してきたビールを受け取ってセトからコップをもらう。

「コップに注ぐと炭酸抜けない?」
「モモみたいにザルじゃないし、こっちのほうが残り分かるからペース調整しやすいんだよ」
「ビールに氷って要らないのか?」
「最初から冷えてるし、氷入れたら味薄くなっちゃいますよ。キドさんはビール飲まないんですか?」
「あったら飲む程度だな、お前みたいにぐいぐいいけないし、あんまり飲まない」

ヒビヤはまだ未成年で飲めないため料理を食べて聞き流している。コノハは飲み物で腹を膨らますくらいなら食べ物を詰め込むことを選ぶため飲めるか飲めないか分からないし、マリーは甘いカクテルぐらいで苦いものは無理という舌だ。

「モモは酒ばっかじゃなくて料理も食え」
「うん、あと四本くらいで終わらせとく」
「あと四本って......、男でもそんなに飲む人居ないよね」
「そうですか?あっ、この鳥のやつ美味しい!」
「それ店長にこの前教えてもらったんすよ。居酒屋ってメニューにないの頼む人、けっこう居るんすよね」
「最近もっぱらこれがツマミ」
「うー、羨ましい」

缶を置いてやっと箸を取ったモモはこれまたアイドルとしてどうなんだと思うほど躊躇いなく肉を選んだ。鳥とはいえその躊躇いのなさには呆れる。オレの言葉に心底羨ましそうに見てくるのも。

「これピーマンか?あんまり苦くないな」
「あ、気に入ったっすか?」
「か、カノ!それ私が取ったの!」
「んー、気のせいじゃない?」
「気のせいじゃねえよ、カノ盗るな」
「コノハさんひとつの料理食べ過ぎ食べ過ぎ!なくなっちゃいますって!」
「ご、ごめん......」

キドがセトに作り方を教えてもらっている。カノはマリーがコノハの食べっぷりに感心しているところに目を盗んでマリーの取り皿からおかずを奪っていった。仲良く食えよとたしなめればモモがコノハの食べっぷりに慌てて止めに入っていた。ヒビヤはもう我関せずと言わんばかりにコノハのストッパーを放棄している。
相変わらず騒がしい。

「そういえばシンタローくん、寝室にベッドがひとつしかなかったんだけど」
「お前、覗いたのか......」
「探索と言ってよ。で、同衾?」
「アホらしすぎてツッコむ気もおきねえよ......」
「シンタローさんと生活時間違いすぎて一緒に寝るなんて滅多にないっすよ」

カノのアホらしさに呆れ返っていればセトが横から入ってきた。キドに教えることは済んだらしい。カノがなーんだと大袈裟にがっかりしているのにどうも苛立った。

「そんなに生活時間違うんですか?」
「俺が朝早くて、シンタローさんは夜に大体仕事してるんで」
「こいつの朝早いは四時だからな。オレもオレで夜に仕事するからコーヒー飲んでて早く終わっても中々眠れねえし、だから眠くなるまでまた仕事するとか」
「へー、エロサイト巡りじゃなくてですか?ご主人」

ここに居ない声が会話にさりげなく割ってはいってくる。それに深々とため息をついて振り返れば目付きの悪い女とアヤノが立っていた。二人とも両手に紙袋を引っ提げている。

「......エネ、じゃなくて貴音」
「お久しぶり、ご主人」
「止めろ、鳥肌がたつ」
「皆久しぶりー、お土産にお酒持ってきたよ」
「うわ、ワインとかシャンパンとか太っ腹。どうしたのさ」
「お父さんのをちょっとね!どうせお父さん一人酒なんだからこんなにいっぱい持ってても勿体ないし!」

アヤノがにこにこと笑いながら瓶や買ってきたビールやチューハイやと並べていく。言葉を聞くに無断で持ってきたんだろう、カノとキドが苦笑いし、セトがいそいそとグラスを持ってくる。モモはあからさまに顔を輝かせ、マリーもちょっと興味を惹かれたようだった。

「あんたまた肉ばっか食べてんの?」
「貴音......野菜も、食べてるよ......?」
「ああもうっ、ダラダラ喋るな!」
「あ、ヒビヤくん。さっき下でヒヨリちゃんと会ったからもうすぐ来るよ」
「あ、そうですか!」

コノハの背中をばしんっと容赦なく叩く貴音。ヒビヤがホッとしたようにコノハから視線をそらしてアヤノの言葉に落ち着いた態度を崩した。そしてケータイを取ってちょうどよく届いたメールにさっと目を通して立ち上がる。

「ヒヨリから荷物取りにこいって言われたんでちょっと抜ける」
「襲っちゃダメだよー、ヒビヤくん」
「誰が襲うか!ったく、モモは......」
「キサラギ、さすがにそれは注ぎすぎだ!」

情緒もなくどぼどぼとグラスいっぱいまで赤ワインを注ぐモモにキドが待ったをかけるも時すでに遅い。きゅーっとグラスの中身を一気に半分まで減らすモモにカノがうわあと腹を押さえた。グラスを配っていたセトもさすがにその様子にぎょっと目を剥く。肝臓が痛くなるような様だ。

「もうこうなるとそこのザルはほっといた方が賢明だぞ」
「そうみたいっすね......。マリー、シャンパンいるっすか?」
「うん、ちょうだい」
「セト、白ちょうだい。キドは日本酒だって」
「セトー、私も白ね。貴音さんは?」
「私、高いお酒ってあんま飲めないから。先、ビールもらうわ」

こぞって皆がグラスをセトに差し出してくるなか、貴音がクーラーボックスを開けてビールをとる。

「もうその缶、空っすけど。シンタローさんは?」
「オレもビール。貴音、ビール!」
「とってって言いなさいよ!私がビールか!」
「キド、ビールとってくれ」
「ごーしゅーじーんー?忘れてませんよねぇ、私がアンタのパソコンにいたことぉ」
「......貴音さん、ビールをとってくださいませんかね」
「あー、憎たらしい後輩が下手に出てるって気分良いわー」

にこにこと上機嫌でビールを差し出してくる貴音の手から引ったくるように缶を受けとる。睨めばエネ時代の輝かんばかりの笑顔を向けられぞわっと鳥肌が立った。
セトがそんなオレをまあまあとキドにグラスを渡しながら宥めてきた。

「八階って、微妙に高ーい」
「帰りましたー」
「おかえりー、無事だねヒヨリちゃん」
「モモちゃん!この前のドラマよかったです!あと襲われても改造してもらったスタンガンあるから大丈夫ですよ!」
「スタンガンって改造できるの?」
「マリーちゃん、聞いちゃダメだよー」

文句を言いながら到着したヒヨリの後ろでジュースとお菓子でぱんぱんに膨らんだ袋と鞄を持つヒビヤが戻ってきた。
モモのからかいでぎろりと睨んだけれどヒヨリのスタンガンのくだりで顔をヒビヤは若干青ざめさせる。大人しくヒヨリの荷物を置き、ビニールからお茶を出してヒヨリに渡すと自分もジュースを出して座った。さっきまでヒビヤが座っていたコノハの隣はもちろんのようにヒヨリが座り、ヒビヤはモモの隣に腰を下ろす。

「良いの?ヒビヤくん」
「今は観賞用だってさ。あとでモモの隣にも座るから確保しとけって」
「良いように使われてるねぇ、ヒビヤくん」
「慣れました」

本当に慣れたように新しい皿と箸を自分が使っていたものと入れ換えて料理を食べ出す。カノがヒビヤのさっぱりした様子にからかう隙はないと見たのか肩を竦めた。貴音はコノハに構うヒヨリを少し気にするようにチラチラ見ている。アヤノがそんな貴音を見てうふふと笑っているのにマリーが気付いて不思議そうに首を傾げた。

「あ、ちょっと抜けるっすね」
「バイト先か?」
「っす。店長に直前まで入ってほしいって頼まれてたんすよね......」
「大変だねー、頼れる男もさ!」
「カノ、からかわないでほしいっす」

じゃあ、と言ってバイブで震えているケータイを持って立ち上がったセトの背中を見送り、モモの手から赤ワインの瓶を救出する。ああっと追いすがられたが白ワインを渡して文句を言われないよう回避した。なんでも飲みなんでも好むモモは予想通り白も良いよねと呟いてグラスの残りを飲み干す。
マリーがちびちびとシャンパンを飲んではキドと話し合い、カノがまだ残っている瓶のラベルを一本一本見ていく。ジントニックやウィスキー、焼酎や日本酒と種類が多い。

「コノハは酒飲まないのか?」
「......えっと」
「あー、こいつ酒ダメなのよ」
「飲めないですか?」
「いや飲めるんだけど、この体でしょ?いっくらでも飲めて加減をしらないから、いつの間にか無表情ですっごい酔っぱらってんのよねー」

貴音がアヤノの問いにごちっと拳でコノハの肩を叩く。むう、と拗ねた目でコノハは貴音のビールをするっと奪った。

「貴音が見てくれるなら......大丈夫」
「あんたに付き合ってたらこっちが飲まれるの!私は酔ったらすぐにこてっと寝ちゃうし」
「じゃあ私が見てましょうか?」
「ヒヨリちゃん、こいつ相っ当分かりにくいよ。私も先生も注意深く見てないと、ぜーんぜん分かんないんだもん」
「それはそれである意味見てみたいけどねー」
「バカ、不用意に煽るな」
「そうですよ、つり目さん!大変なのは連れて帰る羽目になる私なんだから」

貴音はコノハの手からビールを奪い返してキドと揃ってカノを睨む。アヤノもカノと同じようなことを言いそうになっていたのか慌てて口を閉じ、マリーを構い出す。

「マリーちゃん、シャンパン美味しい?」
「美味しいよ。白ワインってどんな味?」
「あ、飲んでみる?私もシャンパンちょっとちょうだい」
「うん!」

マリーの方が何倍も年上のはずだが見た目マジックでアヤノの子供に対するような接し方に、違和感がまったく感じられない。モモが隣でヒビヤくんも飲んでみる?と白ワインを勧めて迷惑がられている。

「セト遅いね」
「そういえば、断るだけにしては遅いよね。お兄ちゃん、見てきてよ」
「なんでオレが......」
「いやシンタローくん以外に適任いないでしょ。ここ二人の部屋だしさ」

そう言われてしまえばオレに逃げ道もない。めんどくさいと思いつつ残り少なかったビールを飲んで立ち上がる。
電話をするならリビングを出れば良いだけだ、外に出るまでもない。寝室かと当たりをつけて、閉まっていた寝室のドアを出来るだけ静かに開いた。
予想通り、セトはスタンドをつけただけで電話をしている。困ったなと眉を下げているセトに気づかれるよう中へ入った。

「あ......えっと、すいません、だから今日はとにかく無理っす。......いや、今日は無理ってずっと言ってたじゃないっすか」

電話を切ろうと話を急かすセトに電話口から漏れていた声が徐々に小さくなっていく。そしてオレが入ってきて五分もしない内に電話は終わった。ふう、とため息をつくセトに近づくと情けない顔がオレを見た。

「相変わらず流されやすいな、ごり押しされそうになってただろ」
「あはは、情けないことに正解っす。様子見に来てくれたんすか?」
「モモとカノにせっつかされて」
「すいません」

セトに手を伸ばせば何をするのか分かったらしく素直にケータイが置かれる。不在着信の数を見るに何度かは無視していたらしく、セトにしては耐えた方だ。電源ボタンを長押ししてケータイを落とし、セトに返す。中々それができないからこうやって話を引き延ばされる羽目になっているのだから、そろそろ学習した方が良い。

「ありがとうございます」
「良い。マリーが心配してたし、戻るぞ」
「あ、......あー」
「......?」

歯切れの悪い、返事といえない声に戻ろうとしていた足を止める。うーん、と少し考え込んだセトにどうしたと空気で伝えればふと突然腕を掴まれた。それだけでセトがなにを悩んでいたか分かり、頭が痛くなった気がした。

「あのな」
「えっと、ちょっとだけ」
「オレは呼びに来ただけで」
「お兄ちゃーん、料理なくなったからキドさんが台所使って良いかってー!」
「キサラギちゃん、セト電話中」
「あ。ごっ、ごめんなさ、むぐっ!」
「モモ、それ以上喋らない方が良いよ」

モモの元気な声にセトが気まずそうな顔をして腕を離す。すいません、と両手を軽く挙げて引き留めないと示すセトに自然と顔をしかめ、ため息をつく。
閉めていなかったドアに向かって歩き、廊下に出てモモに頷いて静かにと人差し指を立てた。ヒビヤに箸を突っ込まれているのを見るに、食べ物を口に詰め込まれたんだろう。正しい黙らせ方だった。
そして寝室に戻ればセトはオレを見て目を見開き、そして参ったというように笑った。

「シンタローさんには敵わないっす」
「すぐ戻るからな......」
「了解」

腕が背中に回り、セトの肩に顎を置く。主な理由としては最近引っ越したばかりでお互い忙しかったことだろうなとぼんやり思う。引っ越し祝いと称したただの飲み会のためにどうにか慣れ始めた生活の隙間を抉じ開けたのだ、まあ少しくらい許しておく。

「......おい、手が変な動きしてるけど」
「気のせいっす」
「気のせいで服の中まで入るか!」
「背中だけ背中だけ」
「おっまえ......!」

弱った顔にほだされてはいけなかった。手がシャツの裾から入ってくる。抵抗しようにも非力なオレと肉体労働もしてますなセトでは話しにならない。もしテレビでそんな対決してたらくそつまんねと鼻で笑う。
無駄な抵抗の間に手が上って肩甲骨の下をゆっくりと撫でる。

「ちょっ」
「背中だけっすよ」

こめかみにセトの唇が当たる。手は肩甲骨から背骨に行って凹凸を確認するようにこつ、こつ、と一個一個をなぞっていく。他人の手で触られるそれに息が詰まって体が固まる。
顔を上げていられなくてセトの肩に顔を伏せてそれに耐える。荒れた手の皮が微かに肌に引っ掛かる度、肩が震えた。
まるで確認するように背中に手が滑り、這う。言った通り背中だけ。たまに脇腹の近くを通ってぞわぞわっと感覚が走る。

「ん......、っ」
「シンタローさん、息がエロ、いてっ」
「アホかっ......!」

ふざけたことを抜かすセトの脇腹を殴る。反射だけで言ってしまっただけで、実際痛いと思っていないような声に苛立つ。むしろオレの手が痛かった。

「っ......もう、良いだろっ」
「もうちょっと」
「すぐ戻るって言ったろ!」

叱咤しても効果はない。調子に乗るときはとことん乗る、いけるときはとことん突き進む。このままじゃドアに鍵をかけられベッドに押し倒されてしまうのも時間の問題。それだけは避けたい。

「くっそ......!」

チッと舌打ちをして肩から顔を上げた。セトの後頭部を勢いで掴み、そしてそのまま後頭部を押してしまう。めんどくさいと口を開けてがりっとセトの口の端を一回噛んで舌を突っ込んだ。

「ふ、ぅ......っん」

数年前を思いだし、慣れたなと実感する。息が吸いにくいと文句を言ったしセトの良いようにされていた。上顎を撫でればセトの目が細くなって舌を甘噛みされる。
ドア向こうで聞こえる声やなんやに後ろめたいような罪悪感のようなものが胸を占めた。
ようやくセトが離れ、軽い息の荒さを整えた。口を手で拭うと軽く濡れ、ぐっと奥歯を噛む。

「......これで我慢しろ」
「シンタローさんからとか、逆に煽られたんすけど......」
「トイレで処理してこい!オレは戻るからな」

途中から大人しくなった手はオレがセトの肩を押すとあっさり服の中から出ていく。深々とため息をついたセトは俺も戻るっすと言って後ろについてきた。
いや処理してもらった方がオレの夜が安心なんだけどな。

「大人になれよ」
「努力してみるっす」

ほんとかよと睨めば朗らかに笑われ、その言葉には期待できそうになかった。
リビングに戻ればキドが台所に立って、おかえりと言ってきた。モモもグラスを持ち上げて早く早くと座布団を叩く。

「お兄ちゃん、このあとはケーキもあるんだから!」
「お前、入るのか......?」
「余裕余裕」
「モモ、本当に牛になるんじゃない」
「牛のアイドルね......、ぶふぉ!」
「ヒビヤくんっ、もう呼ばないって言ったじゃん!カノさんは一生黙っててください!」
「一生?!」

騒がしいテーブルに戻って、オレはまたグラスにビールを注いだ。隣でセトが珍しく自分から酒をとっていた。
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