嫌な予感と嫌味な天気
(何だ、この狂気じみた気は…)
隣に居る小林と生徒達を見ながら会話していると、いきなり背に悪寒が走り辺りを見回すが、特に異常は見られなかった。
「どうしたんだ?セレス先生」
「いえ、何でもありません」
不思議そうに尋ねて来た小林に曖昧な笑みを浮かべ「ちょっと見回り行って来ますね」と伝えその場を離れた。
「ラミエル、先程の気配どう思います?」
『いい気では無い』
ラミエルが半透明の姿で答えた。
『私を呼んだということは、調べて来いと?』
不機嫌そうに腕を組み、ラミエルは主であるセレスを見下ろす。
『何故、私が…。他の者でも十分だろうに』
「念のためですよ、頼みます」
少し不満そうにセレスに言うと、セレスはラミエルに頭を下げ懇願した。
『…分かった。しかし、実体を持っていない。半分ほどの力を出せないが…良いのか?」
「えぇ、それで構いません。お願いします」
その言葉を聞きラミエルは四枚のツバサを広げA校舎の方へと飛んでいった。
それを見届けたセレスは体育館へと戻った。
「小林先生遅くなりました」
息を切らして小林の元に戻ると、小林はお疲れと言って笑った。
「…?あの、杉嶋君と坂本さんが見当たりませんね」
何故か変わった気配が減ったと思えば杉嶋隼人と坂本明里が居ないことに気づき、小林に尋ねた。
「あぁ、あいつ等ならさっき出て行ったぞ」
「そうですか」
(彼らも気づいたようですね。あの気配を…。まぁ、今はラミエルが天城君を見つけないことを祈るしかありませんね。あぁ見えて負けず嫌いだから、天城君をみつけたら喜々として攻撃を仕掛けるだろうな…。結界解かれたこと気にしてたし…ま、そんな偶然ないと思いますけどね)
心の中でそんな事を考えても、体育館で生徒達が揉め事を起こさないよう見ながらでも、嫌な予感は拭えなかった。
そんなセレスをよそに、隣の小林は生徒達を叱るべく追いかけていった。
「本当に、無事に終わればいいんですけど…」
はぁ、とため息をつくとセレスは窓を見る。天気は嫌なほどに快晴だった。
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