自由時代 [ 52/54 ]

自由が欲しいと叫んでみた
それが何か分からずに
自由があると思っていた
秋が近づく中2の放課後

毎日歩く通学路
最後の信号見えてきた
ここから先は別世界
レプリカ大量発生中
モノクロームの制服で
坂道登るその姿
傍から見たらアリみたい
お菓子まで一直線

前を歩くあの子と
あたしの違いは何ですか
同じ服に同じ鞄
髪型までもがおんなじで
女子生徒AとB
違いはあっても分からない
そうよ誰も気にしない
アリの違いに意味は無い
たくさんある中の一つ
大した価値は見い出せない

朝から使う教室には
いつもの席にいつもの人
昨日と同じ今日があって
今日と同じ明日になる
ENDLESS何も変わらない

放課後教室に居残り
語るありもしない夢
「とりあえず高校には行く予定」
選択を先送りしてたら
選択肢が少し減っていた

自由が欲しいと叫んでみた
違うあたしになれるはず
自由があると思っていた
好きなことだけやればいい
自由が良いと信じていた
ルールに縛られたくないと
そんな自由を語っていた
冬が終わる高2の放課後

通勤ラッシュ避けるため
毎日少し早い電車
いつもの車両いつもの席
今日はあの子いるのかな
進学校の制服で
洋書片手に立つ姿
はなから相手にされて無い
スタートから出遅れる

先に下りるあの子と
あたしの違いは何ですか
同じ中学同じ年
部活までもがおんなじで
女子高生AとB
違いがありすぎ分からない
でもね誰も見ていない
他人様に興味は無い
通り過ぎる中の一人
視界にあっても記憶に無い

昼に逃げ込む美術室
描き足されたのは赤いバラ
昨日と違う今日があって
今日と違う明日になる
ENDLESS歩み止らない

放課後教室に居残り
語るリアルすぎる夢
「とりあえず就職をするしかない」
選択は限られている
選択肢はもう残ってない

自由が欲しいと叫んでみた
子供のふりして足掻いてる
自由があると思っていた
嫌な事から目を背け
そんな自由を夢見ていた
所詮子供の戯言で
いつも自由に生きていた
春が始まる最後の放課後

卒業式の後の教室
残された別れの刻【とき】
昨日と同じ今日があって
今日と違う明日になる
END……今日でさよなら

自由が欲しいと叫んでみた
お酒の入った同窓会
自由があると思っていた
学生時代を思い出す
自由は夢を見せる言葉
人に力をくれる言葉
自由の意味が分かってきた
夏の盛りの20才【はたち】の真夜中



----------
ちょこちょこ実話を織り交ぜた歌。
中学校は山の中なので、途中から前も後ろも生徒だけしか歩いていない通学路でした。
高2のときは美術室が隣だったので、お昼はよくそこで食べていました。


[*prev] [next#]
top