桜咲く季節 [ 9/54 ]
入学式の後窓から見つけた
体育館の裏にひっそりと隠れ控えめに咲く一本の桜の木
鮮やかな若葉をるける他の木の中でヒラヒラと舞う白い花びら
何となく気になってそこへ行った
小さくて、たった一本だけでも必死に咲いてる気がした
髪についた一枚の花びらを手にとって
なんだかほっとする俺が居た
中の良い友達と別れたった一人で
進学校の私立へとやって来た俺の不安を少しだけ減らしてくれた
自分だって一人で頑張って咲いてるんだ
だからお前も一人で頑張ってみろ
そう言われた気がした
でも、桜は一人じゃないんだ
種類は違えど同じ木が周りにあって
俺も、一人じゃないんだ
周りには友達になるかもしれないたくさんの人がいる
「あれ? 先客が居たんだ。ここ見つけたのあたしだけだと思ったのに」
声がして振り向くと君が居た
桜色の雨が降る中でにっこりと笑った君
「きみ、たしか同じクラスだよね。よろしく。でも、なんで一人?」
「俺の中学から来たの俺だけだから連れがいないんだ」
「なるほど、あたしと一緒か。じゃあ、友達になろっか?」
「えっ、……べつにいいけど」
俺の心に宿った淡い思い
それはいつか恋心へと変わって行く
「ねぇ、どうかしたの?」
「いや、お前と初めて会ったときを思い出してた」
桜色の雨が降ると思い出す
体育館の裏でにっこりと笑った君を
***********そういえば、私は男性視点の詩が多いな。
もしかしたら、理想を描いているのかも。
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