(グリーン/携帯獣)



そういえばもうすぐあの気に食わないレッドの野朗の誕生日だったなと特にプレゼントを買うつもりでもないのにデパートへ足を運んだ。
まあ対戦用に傷薬などの回復アイテムは買っておきたいところだったし、ふらふらと商品を物色していた。

「どれがいいかなー……」

「ん……?」

聞き覚えのあるような声がして、棚の向こう側へと足を進め、声の主を探す。
そこには、ぬいぐるみを漁るなまえの姿があった。

「なまえ」

そう、短く彼女の名前を呼ぶと驚いたようにこちらを向く。
その両手にはぬいぐるみが掴まれていて、どうやらなまえはぬいぐるみを買おうとしていたらしい。

「あ、グリーン。どうしたの?もしかしてグリーンもプレゼント買いにきたの?」

「プレゼント………?」

自分の眉間に、皺が寄るのがわかった。

「もうすぐレッドの誕生日でしょ。だから、何がいいかなって」

「……なんであんな奴にプレゼントあげんだよ」

自分でも驚くほどの低い声。
なまえもそれに気付いたのか、こちらの機嫌を伺うように恐る恐る口を開いた。

「だ、だって私の誕生日にプレゼントもらったし…グリーンももらったでしょ?それに、友達の誕生日にプレゼントあげるのは当たり前だよ」

「ああ……そういうこと」

わかりやすいくらいに、声が軽くなる。
友達の誕生日、ね。オーケーオーケー。それくらいじゃ嫉妬なんかしないって。むしろ友達だぜ友達。俺はなまえと恋人同士だっての。

「グリーン?眉間に皺寄ってるけど…」

「あ?いや、あいつの誕生日プレゼントは何がいいかって考えてたんだよ」

「なんだ良かった。てっきりプレゼントあげるなって反対されるのかと思った」

俺は息を吐くように笑い、なまえの右手にあったぬいぐるみを奪って棚に置きなおすと、その空いた右手を左手で掴んだ。

「祝いの言葉はくれてやれ」


(その代わりお前は俺だけのものだ)





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