そして最初の登校日が来てしまった。
私は早めに仕度をして家を出る。
腕にはめた時計を見て、全然余裕だ、と笑みを浮べた。
見慣れない通学路を歩き、学園へと向かう。
ちらほらと同じ制服を着た生徒を見かけはじめたので、彼らもこのまま学園へ向かうのだろう。
入学式は高熱で休んでしまったのでもしかしたらクラスメイトとの交友に出遅れてしまったかな、と考えながら玄関へと到着した。
ちらほらと話しながら歩く生徒を見かけるものの、あまり人は多くない。
私は期待と不安を持ち合わせながら廊下を歩く。
ふと、周りの視線が気になった。

「あの子、13組みたいだよ」

「え?そうなの?」

「13組がなんで学校に…」

言っていることは小声なのであまり聞き取れないが、13組という言葉だけは聞き取れた。
どうやら他の生徒たちも13組に登校義務が無いのは知っているらしい。
だからといって来てはいけないわけではないので、別に私が登校したっていいだろう。
そうやって周りの視線を気にしながら、とうとう13組の前まで来てしまった。
少しだけ、他の組と離れた場所にあるこの教室。
壱年十三組と書かれた札を見上げて、息を呑んで扉を開けた。

「……………………」

誰もいなかった。

「………………………」

扉をゆっくりと閉めてから、無言で、窓側の一番後ろの席へ座る。
静かに。息を整えて。
席について。かばんを置いて。
私は机に顔を伏せた。

「(あららびっくり一番目)」

今まで学校に登校してきても一番目ということは無かったので、どうしたものかと口を尖らせる(その際間違っても机と口付けしてしまうようなことはしない)。
それから顔を上げて、はあ、と溜息をはいた瞬間。
13組の扉が、思いっきり開かれた。

「…………………あ」

「……………………」

見覚えのある顔だった。というより、身体だった。
とにかくデカイ。そんなサイズの制服があるのだろうかというくらいの体格。特注だろうか。

「………………………」

「………………………」

「………………………」

「………………………」

とりあえず、お互いに目と目が合ってしまってずっと固まっている状態から抜け出したいのに抜け出せない。私も驚いているだろうが、それ以上に、彼はとても驚いたような顔をしていた。
彼は13組で登校してくる者がいると思っていなかったくちだろうか。

「……おっ、おはよう」

「…………あ、ああ…、おはよう…」

口を開いてみたものの、見事に声が裏返った。
だが彼はそんなことに突っ込まず、少し戸惑ったように教室へと入ってきたのだ。
そして彼は教室のど真ん中の席へと座る。

「………………………」

「………………………」

「………………………」

「………………………」

再び訪れる沈黙。
頑張れ、頑張るんだ私!
この学園で最初の友達を、作るんだ!!



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -