(宗像形)
「今日はクリスマスイブらしいな」
「そうだけど…宗像お前、どうかしたのか?」
高千穂が驚いたように、トレーニングをしていた身体を止めてそちらを見る。
宗像はというと、いつも通りの無表情で先ほど水をあげた草を見つめていた。
「友人からクリスマスプレゼントというものを貰ってな…お前やなまえにもあげたほうがいいのだろうかと悩んでる」
「友人って…あー、あの人吉とかいう奴か。クリスマスねえ…その友人は何か言ってなかったのか?」
「え?いや…『なまえ先輩には何あげるんですか?』と何故かなまえ単体に対する質問はあったのだけど、それ以外は」
「ウソだな」
「え?」
タオルで汗を拭きながら、高千穂は宗像と少し離れた位置に腰をおろす。
宗像は草から高千穂へと視線を動かした。
「何故ウソだと思う」
「反射でわかる」
「それこそウソだろう」
「さあな。…話がそれた。ともかく、そのオトモダチがした質問の他に、何かあったはずだろ?」
「………………」
宗像は再び高千穂から視線を草へとうつし、気まずそうに口を開く。
「『彼女にクリスマスプレゼントあげるのは当たり前ですよ』と言われた…」
「えっ、お前らいつの間に付き合って「ない!!」
裏返った声を出した宗像は、顔を真っ赤にして高千穂から顔ごと視線をそむける。
「だ、だけど、その、いずれそうなる可能性は…」
「なんの可能性?」
「あqwせdrftgyふじこlp」
「え、宗像くんどうしたの」
「うわ、宗像が壊れた」
突然現れた第三者に、宗像は言語化出来ない言葉を発しながら体制を崩した。
それを見て、高千穂と、先ほど現れたなまえが驚きの表情で宗像を見ている。
「まあ宗像は放っておいて、なまえどうしたんだよ?」
「え、ああうん。今日クリスマスイブでしょ?だからみんなにお菓子あげようと思って」
「よし!宗像、お前そのまま壊れてんだったらおれがお前の分ももらっとくからな」
「殺す」
君だから愛す
(やめろお前シャレにならねーから!)
(シャレにならないから殺す。クリスマスイブだから殺す。なまえと2人きりになりたいから殺す)
(おいお前今さらっと…)
(あqwせdrftgyふじこlp)
(殺人鬼って冬になると壊れるのかな)
(そんな馬鹿な)