学校に真面目に登校してきた日から丁度一週間。
机が綺麗だったり靴がなくなってなかったりすることに感動する五日間だったな、と先週の学校を思い返す。
改心したのか飽きたのか、それとも他の理由があるのか。
どれにせよ静かな学校生活を送れるというのは素晴らしいことだ、と軍規の笑みをうけながら席へと座る。
「おはようなまえ」と言われたので、「おはよう」と返すと、満足したのか笑みを深くした。

「にひひひひ。また教科書を忘れたから見せてくれ」

先週もこの台詞をずっと訊いていた気がする。
聞けば、軍規は転校してきてもう一ヶ月も経つというじゃないか。
今までどうしていたのかと聞くとちゃんと教科書を持ってきていたというから驚きである。
だったらちゃんと持ってくればいいのに。
転校生が教科書を見せてもらえるのはせいぜい最初の一日二日程度だぞ、と言ってもきかなそうなのでそんなことは言わないけど。

「2人で一冊を使ってたほうが机の使えるスペースが増えるだろ。だからちゃんと教科書を持ってきているなまえが私に見せてくれ」

押し付けがましい感じな軍規を憎めないのは、その雰囲気なのか笑顔なのか。
まあ別に教科書を見せるくらい構わないけれど。
「教科書見せて」と言われて「借りてくれば?」と言うほど心が狭いわけでもないし。
でも、もし私が軍規以外の…特に今もなおこちらを睨み付けている彼女にそんなことを言えば、「借りてくれば?」どころかせせら笑い、もっといえば無視される可能性がある。
だから一概にみんながみんな気軽に教科書を貸してくれると思ったら間違いなのだ。
軍規はどうだか知らないけど。

「はいどうぞ」

くっつけた机の真ん中に教科書を広げて閉じないようにぐっ、と真ん中を押す。
それを軍規もやろうとしていたらしく、お互いの手が重なり合った。
私が下で、軍規が上。
驚いて手を引っ込めようとしたが、軍規が力を入れていたのでタイミングが悪く、引っ込められなかった。

「手、小さいな」

「気のせいだよ」

まじまじと私の手を見る軍規の視線から逃げるように、自分の右手を膝の上においた。
後ろから突き刺さる視線がちくちくと少し痛かったが、気付かないふりをした。
面倒なことにならないといいけど、なんて叶わない思いを胸に抱きながら。

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