あとで聞いた話だが、彼女は奈布二音(なぬのにね)というらしい。
奈布が下の名前だと思っていたので、フルネームを知ったなまえは驚いたようにそうなのか、と頷いていた。
ふわふわとした雰囲気は、なんというか女の子、という感じがしてなまえはきっと彼女はモテるのだろうな、程度にしか認識していない。
そして授業はというと、ほぼ全てなまえが軍規に教科書を見せるということになってしまった。
最初担任が真ん中の前に座っているなまえ達2人を見て驚いたような表情を浮べていたがそのことについては触れずにHRを終わらせてしまったので席を戻そうにも戻せず、なまえは隣でニコニコと笑っている軍規に視線をやった。

「にひひひひ」

「……何か用?」

「これといった用は無いが、なまえを見てるとなんだか嬉しくなってな」

「なんだそれ」

気持ち悪いと思われたり嬉しいと思われたり、十人十色とはこのことかと疑問に思うけど、まさかそんなことはないだろうとなまえは聞かなかったことにして最後の授業のチャイムを待つ。
後ろ(正確には窓側の後ろから二番目)から感じる視線を気にせず、なまえは慣れた手付きで広げた教科書を机と机の真ん中へ置いた。
こうして授業は何事もなかったかのように進んだ。
前みたいに消しゴムや筆記用具が飛んでこないのは真ん中の前の席で先生に近いからか、それとも隣に軍規がいるからか。
よくわからないけど物を無駄遣いするのはよくないことだからそうなったのは良いことだとなまえは1人、納得していた。

「…………………」

隣で静かに授業を受ける軍規を盗み見て、いい奴なのかもしれない、とペンを一度回す。
だけどそろそろ何かが動き出しそうだったから、迷惑をかけないようにしないといけないのかもしれないともう一度だけペンを回した。


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