そとのせかいにいくのは、ダメだといわれた。


「あんたは、外に出たら絶対に孤立するよ」



そう、おばさんはいった。
けど、わたしはむずかしいことはわからないから。
ひとりでそとにいくのはダメだということしか、わからなかった。

「………………………」

おへやのまどから、そとをみる。
げんきにはしゃぐ、おんなじくらいのこどもたち。

「……………うーん、」

なやんで、なやんで。
おばさんたちにバレないよう、すぐにかえってこようとおもって。
わたしははじめていいつけをやぶった。





×






少女―――なまえは部屋にあるピンクのリュックを背負う。
帽子をとり、特に日差しが強いわけではないがそれをかぶる。
それから玄関までこっそりと歩いて、靴を履いて外へ出た。
眩しい光に目を細くして、それから慌てたように扉の鍵を閉める。
キョロキョロとあたりを見渡して安全を確認すると、なまえは小走りで玄関から遠ざかった。

「…………………」

なまえをあずかる親戚は結構裕福なほうで、ボランティアや寄付などをしており、身寄りの無い子供達を預かったりもしている。
なのでなまえの部屋から子供達が遊ぶ様子が見えるし、玄関から出てそちらへいけば子供達と遊ぶことだって出来る。
だが、なまえはそれをしない。
おばが言った言葉のせいでもあるが、それよりもなまえは自分が見たことの無い外を見てみたかったのだ。

「うわあ…………」

なまえの目の前には灰色の縦長い物体がたくさん建っていたり肌色の人が歩いていたりした。
スーツを着た社会人はなまえに目を向けることなく慌しく道を歩いていく。
なまえはそんな人達にぶつからないように、近くの路地に入ってその様子を眺めていた。

「?」

ふと、ガサッという音がして後ろを振り返る。
男の子が居た。

「!?」

男の子は驚いたようになまえを見つめ、なまえは不思議そうに男の子を見つめているだけ。
それからしばらく見詰め合っていた2人だが、なまえは突然表情を輝かせた。

「い、いっしょに!」

「……?」

突然近付かれはなしかけられた男の子は少し警戒しながらもなまえを見る。

「いっしょにあそびましょう!!」

「………………」

本当は「あそんでください」とお願いするつもりだったのだが、今まで同い年くらいの子供と遊んだことがなかったなまえの口から出てきたのは命令のような言葉だった。



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