「なん、だお前……本当にガキか?滅茶苦茶じゃねぇかよ」

「不死身な狼男に滅茶苦茶だなんて言われたくないんだけどな」

ソウルを持つ手に力をこめるが、フリーの構えがかわったことにナマエも体制をかえる。
そして、後ろへ数歩、素早く下がってマカの隣へと立った。

「死武専…死神が作る基準。悪を作り裁く基準―――」

フリーがこちらを指差しながら、低く呟く。
そちらから視線をそらさないまま、ナマエは小さく呟いた。

「その武器を貸して。あなたはソウルを」

「え……でも、」

「傲慢な基準さ…。世界中の狼の運命は人間の基準で左右される。人間の生活をおびやかせば殺され――…それで数が減れば保護をする…」

額に書かれたNOFUTUREの文字が、月光に照らされてその存在感を露にする。

「そんなクソみたいな未来なんていらないねェ。こんどは俺が裁く番だ。俺の怒りは自然の怒り!!」

「でも、今の私たちじゃ……」

「ソウルのパートナーは私じゃない。あなたなんだよ」

マカは目を見開き、ナマエが持つソウルを見つめた。

「『悪魔は狼の姿をしていつも邪悪な目で人間を見張り―――神の子羊であるくそどもを狙ってさまよい歩く―――…』オオカミは悪魔!そう言ったのも人間だろう!?どこぞの家に逃げ込んだらどうだ?レンガ造りだろうが木造だろうが藁ぶきのだろうがすべて吹き飛ばしてやる」

「さっきまで吹っ飛ばされてたオオカミがよくほえるね」

ナマエの手に握られていた鎌が、人間のソウルへと変身をとく。
椿も人間の姿へと戻り、ナマエのななめ後ろに立った。

「ソウル!鎌に変身して!」

「サポートするよ」

ソウルも鎌に変身するものの、椿の顔から不安の顔色は消えない。

「(波長の合わない武器を使うということは――…肉体的負担はもちろん、精神的な負担もある)」

それでもやはり、マカ=アルバーンは鎌職人。
しっかりとソウルを握り締め、目の前のフリーを睨み付ける。
今はただ、眼前の敵を倒すことだけを思考しろ。
他の事は考えるな。
私は鎌職人だ。
強くなるんだ、私は!!!


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