07
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「『ゴミになるのはどうやらあなたの方でしたね』―――だなんて格好付けた台詞を言うつもりはありませんが、とりあえず私たちがゴミになる可能性は低くなりましたね」

「がぁっ……はあ…?」

何が起こったのかがわからない。
そんな心情がピッタリな表情を浮かべて、男は自分の身体を見た。正確にいえば、銃を持っていたはずの右腕を。
―――否。
・・・・・・・・・・・・
右腕があったはずの場所を。

「『人間じゃない』って聞いてましたけど、私が殺しにかかれたってことはちゃんと人間なんですね。良かった良かった。人間なら殺せる」

「なん……なにが、」

「そうだ、教えてくれませんか?知ってるんでしょう?この辺りで起こってる誘拐事件と殺人事件のこと。その理由と目的を」

男の腕から吹き出す血が、地面に降り注ぐ。
フェイタンはわけもわからずその降り注ぐ血を見上げていて、シャルもまた、唖然としたようにその光景を見つめていた。
昨日の今日では、まだ一度同じような光景を見たシャルでも状況が飲み込めていないらしい。
そして勿論、それは右腕を失った男も同様だった。

「し、知らない―――お、オレは犯人っていう奴から雇われて――お前らが子供だったから、ちょ、調子に乗って犯人だと名乗っただけで――――」

男は、血が吹き出す右ひじを左手で抑えながら、声の限り叫ぶ。
自分が一体何をされたのか、少女が一体何をしたのか、何もわからない。
理解が、追いつかない。

「いいえあなたは知ってるはずです。知らないはずありません。教えてください」

「ほ、ほんとにオレは―――」

「なんで教えてくれないんですか?知ってるくせに教えてくれないだなんて、あなたも傲慢ですね。酷い人だ。そんなのゴミも同然だ」

そこで、そうして。

「っ、ぁ……………」

男の全身に、かつて味わったことのない痛みが走った。
バラバラと崩れ落ちていく自分の身体と、断絶する意識。
シュニは、返り血一滴浴びていないその顔で、地面へ落ちて行く男を見つめていた。




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