02
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「………………………」

ふと、意識が浮上する。
何か夢を見ていた気もするが、あまりよく覚えていない。
というよりも、この状況で夢の内容を思い返している場合ではないらしい。

「(……誰か、いる………?)」

勿論周りには共に寝ている彼らがいるが、そういう意味では無い。
クロロが座っていたソファに寝転がったまま、その"誰か"に起きたことを悟られない程度に周りの気配を探る。

「…………………」

確実に、こちらを探っているその気配は、じっと静かにただ存在しているだけ。
何をするでもなく、殺気を放つでもなく。
こちらを観察しているかのよう。

「(1人だけ……彼らの仲間なのかな…?)」

だが、味方とは言い難いその雰囲気に、警戒はとけない。
もしかして私を警戒しているのだろうか、それにしても、なんだか不自然な―――

「っ――――!?」

       ・・・・・・
相手の気配が、完全に消えた。
そしてその不自然さに、気付かれた。

「っ!?」

辛うじて、釘バットで一瞬の殺気を受け止めた。
キラリと何故か暗闇で光ったそれが、刀だと知る。

「…………………」

無言でこちらを見下ろす"誰か"の姿は、暗闇でよく見えない。
しかし、今のは、確実に。
確実に私を殺そうとしていた。

「……………………」

「……………………」

お互いに無言で、動かずに相手の出方を伺う。
相手が何故か笑った気がして、私は釘バットを持っていないほうの手で、来る攻撃を防いだ。

「ちっ……」

"誰か"が小さく、舌打ちをする。
カチッという音と共に飛んできたのは、銃弾のようなものだった。
それをナイフではじき、"誰か"と距離を取る。
そこで初めて、"誰か"の背丈を見て、驚きを隠せなかった。

「(子供………?)」

・・・・
だからか、と1人で納得して、釘バットを持ち直す。
各々のスペースで寝ているシャル達と、別の部屋で寝ているパクノダ達は気付いて無いのだろう。平然と寝ている。
だけど、そのほうが都合がいいのかもしれない。
彼らが起きてそちらに気を取られた隙に、攻撃を食らわされてしまうかもしれないからだ。

「っ!!」

"誰か"が跳び、こちらへとつっこんでくる。
右からくる斬撃を釘で受け止め、右足で"誰か"の顎を蹴り上げる。
それと同時に"誰か"はその蹴りの威力を顎を上に向けて緩和し、身体を捻ると同時に左足を私の左足にぶつけてきた。
即座に左足で地面を蹴り、空中でくるりとバク転をしてその攻撃をかわす。
着地をして体勢を整えようとしたその瞬間。

「え――――っ」

既に目の前に、"誰か"がいた。
まさかのスピードに、一瞬だけ反応が遅れる。
そしてその遅れを、見逃してくれるわけもなかった。

「(斬られるっ―――!)」

大怪我を回避しようと、腕でガードしようとしたそのとき。

「―――やめろ、フェイタン」

ピタ、とその声とともに、目の前の"誰か"は動きを止めた。
"誰か"とともに、声の主を見る。

「これ、クロロの知り合いね?」

「ああ。というか、今日から彼女も仲間だ」

「これが?」

私をこれ呼ばわりする"誰か"は、どうやらクロロの知り合いらしい。
というか、多分、仲間なのだろう。

「彼女はシュニ。で、こっちはフェイタン。今日から仲間同士なんだし、仲良くしてよね」

「こんな弱そうなヤツとは嫌ね」

ふんっ、とそっぽを向かれてしまったので、苦笑いのクロロと共にどうしたものかと顔を見合わせた。





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