11
---------------------------
「この中でパクノダが一番料理得意だな。でもってマチは最悪。得体の知れ無いものとかたくさん入れるからな」
「うっさいな!なんか入れたほうが美味しくなると思うのは当然だろ!?」
「だからってシチューにチョコレートいれるか?普通」
「やっぱり私何かてつだ…」
「わなくていいよ。おれ達と会話してよう?」
ノブナガの言葉にマチが反論するが、呆れたようにフィンクスに問いかけられて言葉に詰る。
何処からチョコレートをいれるという発想が出てくるのだといった様子でフィンクスはマチを見るが、マチは知らん振りを決め込んでいた。
一方シュニは一人黙々と料理をしているパクノダを見て手伝おうと立ち上がろうとするが、隣に座っていたシャルに制され再び席に着く。
クロロはというと、先ほどのように静かにソファに座って本を読んでいた。
「にしても、あんなに食材…どこから持ってきたの?」
ここは間違っても流星街。
あんなゴミ山だらけのこの場所のどこにこんな新鮮そうな食材があるというのだろう。
「ああ。議会の奴らがくれるのさ。オレ達はまだ子供だからな。自分達で調達しなくても言えば譲ってくれる」
「議会?」
フィンクスの口から出てきた単語に、シュニは首を傾げた。
無理も無い。
ノブナガの説明に議会という単語は出てこなかったし、シュニが聞いた説明では"議会"などというコミュニティのようなものが存在するという過程にすら至らなかった。
「まあ詳しい事はオレ達も知らないんだけど、此処の中心人物みたいなものだよ。法律とかは別に無いけど、簡単に言えば流星街も国みたいなシステムがあるんだ」
一応ね、とシャルがつけたす。
シャルの説明に他が付け足す様子も無いので本当に詳しくは知らないのだろう。
教えてもらっていないのか、その"議会"というものが秘密裏に動いているだけなのか。
シュニにはどちらとも決め切れなかったので、あまり勝手に考えるのはよくないだろうと思考を即座に遮断した。
少なくとも彼らに害があるものではないのだろう。食材を提供してくれているというのがその証拠である。
「………………」
この世界のシステムを知るにはまだ当分時間がかかりそうだな、とシュニは小さく溜息をはいた。