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まさかのシュニの空腹宣言に、その場にいた全員が言葉につまる。
だが、確かにシュニは小さくなる前にも十分な食事を取ってはいなかったし、最後の5日間くらいは食べていないも同然なのだ。
逆に、そのような状態で5人もの大人を殺したこと自体、異常なことである。

「クッ………ハハ、アハハハハハ!」

そう大声で笑いはじめたのは、本を片手にずっと成り行きを見ていたクロロであった。
シャル達はシュニの空腹宣言よりも、クロロが声をあげて笑った事に驚いているようで、驚いたようにクロロを見つめている。
クロロはそんな彼らに気付いたのか、笑いを抑えながら本を閉じ、立ち上がった。

「お腹が空いてたから避けれなかっただなんて…思いもしなかったよ。面白いね、君。シュニだっけ?」

「いや、お腹が空いてなくても避けられたかどうかは……」

「うんうんまあそれでもいいよ、別に。オレは許すよ、彼女が仲間になること」

目からこぼれそうになる涙を指で拭いながら(どんだけ笑ってるんだ、とシュニは少し不満になった)、クロロはあっさりと仲間になることを許可した。
そのことに驚きはしたものの、すぐさまシャルは嬉しそうな笑みを浮かべる。
そしてそれは、シュニがいることを良しとしたノブナガ、ウボォー、パクノダも同様。
マチはあまり興味無さそうに成り行きを見守っていた。

「いいのか?クロロ、こんな得体の知れ無い女…」

「得体の知れ無いのはお互い様だろ?それに、怪しいとはいえ女の子を突然殴る行為はいただけないし。それとも何?やっぱり不満?」

クロロの問いに、フィンクスは言葉を詰らせる。
クロロが反論を許していないわけではない。
それでも、フィンクスが言葉を詰らせるには十分な威圧であった。

「いや…お前がそういうなら、別に構わねぇよ」

そういってから、フィンクスはくるりと身体の向きをかえて再びシュニへと向き直る。
シュニはいつの間にか立ち上がっていて、瓦礫の上にバランスよく立ってこちらを向いたフィンクスを見ていた。

「さっきは済まなかったな、シュニ。怪我無いか?」

あっさりとした謝罪の言葉に、シュニ以外の皆が驚く。
だが、フィンクスはシュニを全力で拒否しているわけではなかったのだ。
今までいたメンバーの中にひょんなことで知らない誰かが入ってくるのが、少し嫌なだけだったのだろう。
子供ならではの、独占欲。
それを子供ながらに自覚したのか、フィンクスは勢いあまってとはいえ攻撃してしまったシュニに罪悪感を少しは感じていたのだった。
対して、シュニはというと。

「うん。大丈夫。それに怒ってないし、よろしくね?フィンクス」

この世界の情報を知る彼らと、とりあえずは仲良くしようと笑みを浮かべるのであった。




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