05
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感じられるのは興味関心好奇心。
警戒心などは微塵も感じられなかった。
そんなことが許される環境でも無いだろうに。

「オレの友達を助けてくれて、本当にありがとう」

そう言ってシャルナークはシュニから離れる。
シュニはと言うと、表情を変えずに視線をシャルナークから地面に座っている2人に動かす。
パチリと、細く切れ長な瞳と目が合った。
すぐに逸らされてしまったが、シュニは何か違和感を覚える。
しかし見ていてもその違和感の正体はわからなかったので、もう1人の方へと視線をずらした。

「…………………」

ぺこりと、彼は頭をこちらに下げる。
なのでシュニも軽く頭を下げ、シャルナークに視線を戻した。

「…………あ、えと…」

何か喋りたそうにしているが、混乱しているのだろう。上手く言葉が紡げていない。

「場所」

「え?」

「移動しよっか」

そう言うと、シュニはシャルナークの横を通り過ぎて地面に座り込んでいる2人に近付く。
3人はただシュニの動きを目で追うだけで、何か行動をする気は無いらしい。

「立てる?」

シュニは2人に両手を差し出し、訊く。
2人は少しの間ポカンとしたあと、慌てて立ち上がった。

「だう、大丈夫だ!」

「あ、あぁ!」

「…………そっか」

シュニは少しだけ笑みを浮かべ、手を引っ込めるとシャルナークの横へと戻ってきた。
そして、シャルナークへと口を開く。

「移動、しよう?」

「あ、う、うん」

少し刺激が強すぎたかもな、とシュニは困惑の表情を浮かべた。
それから死体(とすら呼べないような物体)が見えなくなるところまで4人は無言のまま歩き、最初にシャルナークが立ち止まる。
他の3人ともつられて立ち止まった。

「この子はシュニ。さっき友達になったんだ」

「さっき!?」

ウヴォーが声を張り上げる気持ちが、ノブナガにはよくわかった。
さっき知り合ったばかりの赤の他人のために、シュニは人を殺したということが信じられなかったのだろう。
それはシャルナークも同様だった。

「うん。ね、なんでシュニはオレたちを助けたの?」

そう訊かれたシュニは、驚きの表情を浮かべた。
そんな反応が返ってくるとは思っていなかったシャルナーク達は首をかしげる。
シュニは困ったように口を開いた。

「いや…正直、助けるつもりは無かったんだよね」

「………え?」

そう、間抜けな声を出したのはノブナガだった。
なら何故彼らを殺したのだろう、と疑問が頭に渦巻く。

「弱そうだったから、倒せるかなって思って」

シュニは嘘をついた。
倒せるかを考えて殺してたのではなく、ただ純粋に、殺しただけだった。
だけどそれを言えばまた彼らは混乱するだろう、というシュニなりの気遣いだったらしい。
この言葉を言ったあとに、シャルナークを助けたかったからと言えば良かったとシュニは後悔したがもう既に遅い。

「…………………」

シュニの言葉を聞いた3人は予想していなかったことが次々に起こるのでもう頭がいっぱいいっぱいらしい。
ウヴォーなんて意識がどっかにとんでいる。

「……ま、まあ、生きてたから良いってことにしよう?」

シュニがそう言うと、真っ先にシャルナークが「そうだね」と笑顔で答える。

「この子はシュニ。で、この体格良いのがウヴォー。こっちの小さいのがノブナガ」

「うるせぇこれから伸びんだ!」

『小さい』という言葉に反応したノブナガをシャルナークは「はいはい」と適当にあしらう。
それから向き直ると、ガシッとシュニの右手を両手で掴んで、耳を疑うようなセリフをシャルナークは口にした。

「シュニ!オレたちの師匠になってよ!」

「えっ?」

目を見開き、シャルナークを見る。
それは、期待の眼差しで。
気まずそうに目を逸らすしかなかった。

そんなでこっちを見るな


(これは、殺しを覚えるかもしれない昔の話)





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