(コラボ企画)
「『ところでなまえちゃん、この間のことなんだけど』」
「そんなことより纏ちゃん、そのたい焼きの食べ方なんだけど」
「『おやおやなまえちゃんはこんな細かいことが気になるのかい?』」
「飛沫ちゃんが上手く食べれないからコツを教えて欲しいって言ってたんだ」
「『コツだって?こういうのはセンスが無い人には無理なんだよ』」
「そんなどや顔で言われても」
飛沫ちゃんに伝えるのは無理だな、となまえは目の前に置かれたお茶を火傷しないようにゆっくりと飲む。
目の前の椅子に座っている一年−十三組である球磨川纏はそんな伝言などどうでもいいのか自分のスカートに餡子が落ちるのも気にせずたい焼きをベチャベチャと触り、口に運んでいた。
なまえの分のたい焼きも何故か纏が食べてしまったのでなまえはお茶を飲みながらたい焼きを食べているのを見てるしかないのである。
しかし纏もなまえも、そのことを気にしている様子は無い。
「『まあそんなこともこの間のこともどうでも良いんだけど、どうだいなかなか僕も箱庭学園の制服が似合ってると思わないかな?』」
「うん?唐突だね、でもうん確かに似合ってると思うよ。水色のスカートがいいアクセントつけてるって感じで」
「『いつも以上に適当だねなまえちゃんは。でもそんななまえちゃんは制服が似合ってていい感じだね』」
「纏ちゃんもいつも通りに嘘八百だね」
「『嘘八百だなんてお世辞はやめてくれよ。僕は全てが嘘なんだから』」
オールフィクションだなどと言うが、なまえは英語に関してはまるっきりダメなので首を傾げるだけだった。
対して纏も自分の発言は適当なものだったらしく今までの話は無かったとでもいうようにたい焼きをたいらげる。
「『それで?僕が来週から行く箱庭学園は今どんな状況なんだい?』」
「うーん、どんな状況って言われても。大きい人がいたり、変態がいたり、スーパーボール投げてくる子とか影分身できる子とかが校舎壊してたりかな」
「『あー、変態と校舎壊した子は大体予想がつくよ。ていうか、なんていうか、水槽学園もなかなかに凄まじかったけど、やっぱりあの子がいるところは凄いんだなあ』」
「……………?」
「『ああいや、なまえちゃんがいるからっていうのもあるかもしれないね』」
なまえを見てにっこりと笑う纏。
なまえはただ首を傾げるだけだったが、しかしすぐに纏につられて笑顔になった。
「そこに纏ちゃんが来たら楽しいことになりそうだね」
「『そうだね。僕もなまえちゃんと過ごせる学園生活が楽しみすぎて転向手続きが終わる間いくつか他の学園を潰そうかと思っちゃったくらいだよ』」
いい笑顔でそう言う纏を軽蔑することなく、「纏ちゃんらしいね」となまえはただ笑うだけ。
いつの間にか纏の手に握られていた螺子がキラリと光を反射して輝いた。
「それじゃあ纏ちゃん。実験されたり殺されないように気を付けてね」
「『なまえちゃんこそ、僕に騙されないように気を付けなね』」
踏みにじる
螺子伏せる
(危険地帯へようこそ)