プロローグ


あたりでは人々が泣き叫び逃げ惑う姿がある

みんな同じ方へ走り続けるが

一人の少女が人の波を掻き分け反対方向へ走り続けた



「じょーちゃんなにしてる!早く逃げないと死ぬぞ!!」

『離して!私は行かなきゃいけないのっ!』



人な背を向ける方には人とは呼べぬ

化物が街を破壊していた

人の良さそうな男が少女を必死に止めるが

少女は手を振り払いまた走る



『万物よ、我が力となれ』



空高く跳躍し、まだ壊れていない建物の頂上へと登ると

化物は私に気づきゆっくりと近づいてくる




『Si prega di portare il crollo al male』



細めた私の目から流れたのは一粒の涙だった



辺が淡い光に包まれていく中



断末魔を上げる化物の声を聞きながら



私は目を閉じた





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