緋穂01、智空02
目が覚めたら、そこは、知らない所だった


緋穂03
「………ここは……どこだ?」

智空04
(………、君、は……)

智空05
「…?!」

緋穂06
「…ん?……お前は…誰だ?どうした?」

智空07
(……声が…っ!出ない……!!)

緋穂08
「大丈夫か?どこか、具合でも……っ?!」

SE
ドサッ

緋穂09
「……か、からだが……重い…力が入らない……」

智空10
(……声が…!声が……何で…?一体……)


緋穂11、智空12
「(どうして?)」



屡薫13
「おやまあ、いらっしゃい。見ない顔だね?さ、まずは飯からだ。何食うかい?」

智空14
(……あの………)

屡薫15
「おや、お嬢ちゃん…あんた、声をやられちゃったのかい?可哀相に…名は?」

智空16
(………智空……)

屡薫17
「………ほう。智空ちゃんかい。良い名だ」

智空18
(?!通じて…?!)

屡薫19
「まあまあ……辛かったね。……泣くんじゃないよ。ここには仲間もいる。ほれ…」

春希20
(ごしゅじんたまー!!)

屡薫21
「…この子もダメなんだ。話せないんだよ。おかげで友達もいない」

春希22
(ごしゅじんたま?はる、だめだめ?だめだめだめ?)

屡薫23
「春希は良い子だよ。……友達になってはくれんかい?智空」

智空24
(…っ、はい…!!)

春希25
(きゃー!)

龍冶26
「おい」

屡薫27
「あら、長。こんな朝早くに珍しい。明日は槍でも降るのかね?」

龍冶28
「あのなぁ………それより、コレ。店の前でぶっ倒れてたけど?」

智空29
(……あ…さっきの人……)

龍冶30
「知り合い?」

智空31
(………この人も…通じてる…)

緋穂32
「……う〜ん………」



龍冶33
「ここはな、湖底郷。そう呼ばれてる。まあ、この湖を中心に栄えた、小さな国だ」

緋穂34
「……わあ…」

智空35
(…きれい……)

龍冶36
「ははっ…だろう?………おーい、明日香!」

SE
ぱしゃんっ

龍冶37
「お。近くにいたか。お前も気になってたのか?新しい顔」

明日香38
「オナジカオ。ソックリ。ワカラナイ」

龍冶39
「そうだな……お前達は、本当に瓜二つだ」

緋穂40
「………本当だ」

智空41
(……私達…)

緋穂42、智空43
「(そっくり)」

春希44
「〜〜〜〜〜♪」

明日香45
「……ハルチャン、ヨンデル」

龍冶46
「本当だ。智空。春希が遊んでくれって呼んでるぞ」

智空47
(え…?あ、この歌……春希ちゃんの…)

龍冶48
「ああ。……緋穂は、ほら。男同士のなんとやらだ…俺についてこい」

緋穂49
「はい?!」



龍冶50
「良いか、緋穂…できるだけ静かに俺の部屋に向かうからな」

緋穂51
「あの…ここって…?」

SE
ヒュッ……ビイィン…(矢が射られた音)

緋穂52
「ひっ?!」

鬼咲53
「お帰りなさいませ、長。一体何処へ行っていたのです?」

龍冶54
「き、鬼咲……これはだな…」

鬼咲55
「見苦しい言い訳なら、不要。ご苦労さまでした、佑矩。そこのイビトを、清めてから部屋へ通しなさい」

佑矩56
「りょーかいです!さ、行きますよ!イビトさん!」

龍冶57
「あ、佑矩…緋穂、身体がとてもよわ…」

緋穂58
「イビト…?……っぎゃあああああ!!」

佑矩59
「全!速!力!なのですううううう!」

龍冶60
「……緋穂………」

鬼咲61
「…はあ……。長。姫がお待ちですよ。………例の件について。あちら側に、動きが出たそうです」

龍冶62
「そうか。……後は、頼んだ」

鬼咲63
「はい。………これだから、イビトは……」



勾紀64
「佑矩ううう………っ、いたあああ?!」

SE
ずしゃっ

佑矩65
「勾紀さん?!だだだ大丈夫ですか!!」

勾紀66
「うー…なんとか……もう。歩くの苦手だなぁ………えいっ」

SE
光の音

緋穂67
「わ?!浮いて…?」

勾紀68
「ん?見ない顔だね!君は、術は初めてかな?」

佑矩69
「退魔師の話もまだだったですね!えーと、僕達は…」

SE
キイイイイイン

佑矩70
「!!」

勾紀71
「……奴等かな?」

佑矩72
「はい。……ちょうど良いかもしれません。退魔師のお仕事、ぜひご覧ください!」

緋穂73
「…はあ、…」



龍冶74
「各自持ち場につけ。気を許すな、持っていかれるぞ。場所は湖の畔…湖底庵のすぐ近くだ」

緋穂75
「……湖底庵って…さっきの!!」

龍冶76
「!緋穂、ついてきてたのか!……まあ良い。俺から離れるな。もしはぐれたら、鬼咲を探せ。さっき、風呂の前に顔は見たな?」

緋穂77
「は、はい………あの怖い人か…」

鬼咲78
「先頭部隊が、目的と接触しました。………鬼です」

龍冶79
「よりによって、鬼か……鬼咲、背中を頼む。俺が出る。………緋穂。すまぬが、俺達の先頭部隊が、皆を安全な場所へ誘導している。湖底庵の人も、そこにいるはずだ。無事を確かめて来てくれ」

緋穂80
「はい」

龍冶81
「頼んだぞ」



SE
ギャアアアアア(断末魔または咆哮)

緋穂82
「……はあっ、はあ…!……っく、もう、身体が……!」

SE
ドサッ

和鳴83
「あははっ!大丈夫かい?早く逃げないと、もっと沢山の化け物が、君を襲いに来るよ。あはははっ」

緋穂84
「……なっ…?!」

呵斐85
「和鳴さま。退魔師の奴等が迫って来てますわ。今日は、片割れしかいないみたいですし…御子の顔は見れましたから、今回はひきましょう?」

和鳴86
「あははっ!さすがは僕の愛しの呵斐だ。そうだね。巫女には今度、会いに行くとしよう。……せいぜい気を付けると良い、緋穂。歯車はもう、破滅へと回りだしたんだ」

緋穂87
「……!名前!」

和鳴88
「あははっ!あははははっ」



龍冶89
「奴等と、接触してしまった、か……」

鬼咲90
「すみません。佑矩をつけておくべきでした。全ては私の責任です」

龍冶91
「鬼咲が気に病む必要はない。二人を、護れば良いんだ。俺達の手で。郷を、破滅させる訳にはいかない」

鬼咲92
「はい」

?93
「未来とは、自分の手で切り開くものよ。最初っから決められてる運命より、ずっとずっとすばらしいものだわ。そう、私達は…未来に向かって歩きだしたのよ。二つの命を犠牲にしてね…うふふふふふふふ!」


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