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泉くんと別れ、夕飯の買い物をして家に帰ると、玄関の前にレオくんが立っていた。


「レオくん?」


外で何をしてるんだろう。
わたしが声をかけると、レオくんはわたしを視界に入れてパッと笑顔になる。
飼い主を待っていた犬みたいでちょっと笑えた。


「名前!よかった〜!帰って来て!」


飛びつかんばかりの勢いで走ってくる。
外まで迎えに来てもらったことなんて一度もないから不安になる。


「どうしたの。もしかしてお腹すいた?ごめんね、すぐ作るから」


慌てて家に入ろうとすると、レオくんに止められる。


「違う!急に浮かない顔してでかけてくからさ、帰って来なかったらどうしようって思ったんだ」


途端に真剣な表情になったせいで、わたしは緊張した。
変な汗かくからやめてほしい。


「帰ってくるよ。買い物行っただけだし」
「そうだよな!荷物持つ!貸して〜☆」


気が付いたらわたしが持っていた袋はレオくんの手に渡っていた。
もとからこんな感じのテンションだけど、今日はなんだかあからさまというか。
無理に明るく振舞っているような気がする。


「レオくん」
「なんだ?」


玄関に向かう後姿に声をかけると、レオくんはすぐに振り返ってくれた。
泉くんのアドバイスどおりにはできないけど、わたしだって大切なことは言える、はず。


「す」
「す?」


…………つ、次の言葉がでてこない!

もっと自然な感じで口にできたら最後まで言えたかもしれないのに。
レオくんもわたしの言葉を待っているし、時間が経つほど言いにくくなって、顔に熱が集まるのがわかった。


「な、なんでもない」


ぶんぶん首を横に振る。
今日は駄目だ!
明日も駄目かもしれないけど!

ああ、もう、なんで言えないんだろう。一番短くすればたった二文字なのに。


「なんだなんだ?あ!自分で考えろってことか!?わかった、待って!すぐ妄想するから!す、から始まることだろ?」


そうこうしている間にレオくんはいつもの妄想に入ってしまう。
わたしの葛藤なんて知りもしないんだ。
レオくんみたいに素直になれたらいいのにってたまに思うけど。


「考えなくていいよ、馬鹿!!」
「なんで怒るんだ!?」


わたしが素直になるにはまだ時間がかかりそうです。


「わかった!夕飯は、すき焼きだな!」
「残念。カレーです」
「やった!名前の作るカレー大好きだ!」