「ありがとう、リオ」
タオルを絞ったり、着替えを持ってきたり。
リオはわたしの言うことを一つ一つ正確に聞いてくれた。
その間に凛月くんを呼んで、レオくんを部屋まで運んでもらう。
ついでに飲み物や冷たい食べ物を買ってきてくれるように頼むと、いつもの気軽なノリで頷いてくれた。
わたしが行ってもいいんだけど、レオくんが手を離してくれないから。
「パパ、かぜひいたの?」
「そうみたい。リオにうつるといけないから、向こうで遊んで来れる?」
レオくんが寝ているベッドの横でリオの頭を撫でる。
リオまで倒れたらわたし一人で看病できないからね。
わたしの問いに、リオは大きく首を縦に振った。
「うん!パパ、はやくげんきになってね」
目を閉じたままのレオくんに向かって声をかけると、リオはリビングの方向に駆けていった。
あとは凛月くんの帰りを待つだけか。
「……リオにかっこ悪いところ見せちゃったな」
声が聞こえてレオくんを見ると、彼は不満げな表情で天井を見つめていた。
起きてたんだ。
「そんなこと気にしないの。心配しなくてもレオくんはかっこいいパパだよ」
リオはお仕事を頑張ってるパパのことが、大好きなんだ。
その姿は、風邪を引いたぐらいじゃ崩れたりしない。
それに、たまには弱いところも見せないと、息が詰まっちゃうでしょ。
「熱下がるかな。病院行けそうなら行ったほうがいいよ。わたしついてくし。なにか欲しいものある?食べたいものとか飲みたいものとか。して欲しいことがあったら言ってね」
レオくんのことだから、病院は嫌だー!なんて言い出しそうだし。
それにレオくんは食事を優先させないから、ちゃんと栄養をとってもらわないと困る。
病人なんだから今ぐらいはちゃんと言うこと聞いてね。
「じゃあさ」
レオくんが口を開いた。
なに?
わたしが身を乗り出すと、レオくんは潤んだ瞳で見つめてくる。
「好きって言って」
「え?」
思わず聞き返してしまった。
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