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なぜか凛月との間に溝ができたまま一日が終わった。
もともとそんなに話すわけでもなかったけど。

隣からの関わらないでオーラが刺さって痛い……
わたしにはやっぱり友達なんてできないんだ。


そして。
問題は次の日に起きた。

それは何気ない教室での会話で。
男の子が話すことなんてまったく興味がなかったのに。
嫌でも聞こえてしまった。


「あいつもプロデュース科なんだよな?」
「一応?」
「正直、近づきにくいっていうか」
「話しかけたらいいじゃん」
「また扉壊すかもよ」


続いて、くすくす笑う声が聞こえる。
悪気なんてないんだきっと。
会話の流れでわたしのことが話題になっただけで。

わたしのこと、だよね。
……じゅうぶん悪い気もするけど。

でも確かに近づきにくいだろうし。
一人でから回って飛び出して扉も壊してだれともうまくいかない転校生だから。


「プロデュースなんて、できそうにないしさ」


何気ないその言葉が、わたしの心の奥に触れた。

プロデュースなんてする気ない。
どうしてわたしが。
アイドルのプロデュースを。
勧められなかったらこんなところ来なかった。

元の学校で、静かに平凡に、一人で過ごしていくはずだった。


「アイドルなんて……っ」


気が付いたら席を立って、叫んでいた。
注目するなというほうがおかしいくらいその場から浮いていた。
ずっと黙っていたわたしの突然の行動に、周りは静まり返った。

だめだ。これ以上先を口にしたら。
ここでそんなこと言ったら完全に居場所がなくなる。
彼らを全否定するだけだから。

一か月通わないと、学校も辞められないのに。
ただでさえ息苦しいのに、自分で状況を悪化させるなんて。

否定されるのはわたしだけでいい。
関係ない人の夢を奪う権利なんてわたしにはない。


「名前?」


隣から声が聞こえたけど、わたしはぎゅっと拳を握りしめて我慢するので精一杯だった。
視線が集まる。
おそろしいぐらいの静寂がわたしを包む。

普段はわいわいうるさいくせに、こういうときはみんなそろって黙り込むんだから。


「嫌いです」


我慢して我慢して、ぐっと飲み込んだはずの言葉は、簡単に口から飛び出して。
わたしは俯いたまま、静かに教室をあとにした。