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こわかった。

知らない人ばかりだから?
みんな男の子だから?
授業についていけないから?
人見知りだから?

すべてわたしが立ち止まってしまう理由になる。
でも、最もこわいのは。

忘れようと思っていたコトを思い出してしまうこと。

みんなはどうしてアイドルになりたいの。
わたしは彼らをプロデュースしないといけないの。
一度もそんなことを望んだ覚えがないというのに。


*


気がつけば夏休みも残すところあと数日。
夏休みが終わったら、二学期が始まってしまう。
今度こそ連続一か月の出席日数を満たさないと。
ここから逃げることができなくなる。

今日は最後の“夏休み特別授業”を受けた。

休学していた分の授業を早送りバージョンで受けて、余計に頭の中が混乱しているような気もするけど、これで教師の視線に怯えながら授業を受けなくて済むかもしれない。もう教室から飛び出したくないのだ。


夏休みの終わりは校内にいる生徒も少ない。
広い校舎の中でたった一人取り残された気分になる。いつも一人だけど。


アイドル科の校舎をでて、外を歩いた。
この学校は敷地内にも変わった場所が多い。
噴水なんて普通の学校にはないだろう。
噴水で思い出したけど、凛月に預けた退学レポートはどうなったのかな。

考え事をしながら歩いていると、きょろきょろあたりを見回している不審な人影をみつけた。


「あぁあもう〜!また迷った!ここはどこなんだ!?そんでおれはだれだっけ?」


おまけにぶつぶつなにか呟いている。
これは関わったらまた面倒なことに巻き込まれるパターンだ。

退学するまでの学校生活はできる限り静かに何もないまま終わらせたいので、わたしはお得意の“空気モード”を発動してその場から離れようとした。


「なあ、そこのおまえ!」
「え……」


いとも簡単にみつかってしまったんだけど。