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家に帰ると、玄関の前に腰掛けた凛月くんが手を振ってくれた。
そうだ、留守番を頼んでたんだ。


「リオ〜、おかえり〜」
「りっちゃん!なんでいるの?あ、まって!かんがえる!」


リオが目を丸くして凛月くんのもとに駆け寄る。
家が近い凛月くんは、よくリオと遊んでくれるんだ。凛月くんは意外と面倒見がいいの。


「え〜、なにひとごとみたいに。リオのせいでしょ、チビのくせにドキドキさせるんだから」


そう言ってリオのおでこをぺちんと軽く叩く。
言葉は不機嫌そうだけど、嬉しさが隠しきれてないよ。
心配かけてごめんね、凛月くん。


「なあ、名前」
「ん?」


凛月くんとリオのやりとりを見守っていると、レオくんがそっと近づいてきた。
彼の表情が真剣すぎてわたしは反射的に身構える。
なに、またなんかしちゃった?
もう喧嘩はしたくないんだけど。


「話を蒸し返すのは嫌なんだけどさ、リオがいってた、おれじゃないやつと歩いてたって話」


え?
わたしがレオくんじゃない人と歩いてた?
ああ、リオから聞いたのってそれか。


「責めてるわけじゃないから!勘違いなんだろ?」


わたしが黙ったせいでレオくんが慌てている。お互いに手探りな感じが、なんだかじれったい。ちゃんと話せば誤解なんてしなかったのに。

でも、そうだな、説明しろといわれると困ってしまう。


「え、どのことだろう。この前、嵐くんとばったり会ったときのこと?それとも凛月くんに買い物袋を持ってもらったときの……」


正直な話、心当たりがありすぎてどのことだかわからない。
夢ノ咲学院時代の知り合いとはいまも仲がいいし。わりと近所で見かける人が多いから、会ったら挨拶をして、少し話し込んだりもする。

そういうときはだいたい隣にリオがいるから、彼女が見ていてもおかしくなかった。


「……おまえ、やっぱり浮気者だな!」
「違うよ!友達でしょ!?」


わたしが、ここ最近のことを思いだしていると、大人しくしていたレオくんが暴れだした。

え?なに?
嵐くんも凛月くんも一緒にステージに立ってきた仲間でしょ?

リオの相手をしていた凛月くんが、俺まで巻き込まないでよ、とため息を吐いた。
ごめんね、もう手遅れだ。


「あのね、ぷかぷかのひと!」


リオが凛月くんの隣でぴょんっと跳ねる。

ぷかぷか?
ああ、奏汰くんか。そういえば買い物帰りに会った。
公園の噴水に飛び込もうとしているところを見つけて止めて、それから少し話をしたんだっけ。リオを水族館に連れて行きたいっていうから、レオくんにも聞いてみるねーって話をして別れて。

そのまま忘れてたな。


「奏汰くんだよ。三年のとき同じクラスだったでしょ?わかってると思うけど、もちろんなにもないから!夢ノ咲の人ぐらいしか知り合いいないし、みんなわたしにとっては大切なアイドルだよ」

「だったらいいけど」


なんですか、その納得いかない顔は。
わたしだって一応プロデューサーだったんだよ、一年間だけだとしても。
できれば卒業後も仲良くしていたいじゃん。

ママ友と話してると疲れちゃうけど、夢ノ咲のみんなと話してるとあの頃に戻れるような気がするんだ。

でもね、レオくん。


「心配しなくてもレオくんだけだよ、わたしの一番は」


勘違いされたままっていうのも、こっちだって納得がいかないから。
そこははっきりさせておきます。

反応がないので心配になってレオくんを見ると、耳まで真っ赤になったまま固まっていた。女子高生みたいな反応されても困る。


「そういうの!反則だ!」


はあ?
なんで怒ってるの?
レオくんの扱い方が未だによくわからない。


「ねぇ、熱いんだけど。見せつけるのやめてくれる?俺もう帰るよ」


凛月くんが腰を上げる。
ごめんね、外で待たせて。

リオが、りっちゃん肩車してー、とおねだりしていた。
こらこら、これ以上迷惑かけないの。


「リッツ!世話になったから夕飯食べてくか?」
「いいの?じゃあ遠慮なく〜」


ごめん、夕飯の買い物まだなんだけど。

四人でファミレスに行ったのは、また別の話。