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「#エロ」のBL小説を読む
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震える手でスマホを握りしめる。連絡する相手なんて一人しかいない。果たして彼は出てくれるだろうか。どこかにスマホを落としたりしてないかな。

でも迷っている時間なんてない。呼び出し音が鳴るのを、祈る気持ちで聞く。


『はい』


意外にもあっさり繋がった。


「レオくん!」
『なんだよ、リオが寝たら帰るから』


つい数時間前に聞いた声なのに、もう長い間聞いていないような感覚だ。
こんな声だったっけ。いつもより低いせいで突き放されているとわかった。

でも怯んでいる場合じゃない!


「リオが、リオがどこかに!」


言葉にしようとしてもうまく状況を整理できない。
リオが家にいなくて、外にもいなくて、わたしが目を離したせいでどこかに。


『……名前?どうした、落ち着いて。リオがどうしたんだ?』


混乱しているわたしに対して、レオくんの声は優しかった。彼にいわれた通り呼吸を落ち着かせる。ちょっとだけ震えが止まる。わたしの言葉をレオくんは待っていてくれた。


「いないの。家にいなくて。玄関の鍵が開いていたから、外にでたのかも。どうしよう」


言い終わってから咳き込む。伝えられたことに安堵しすぎて、勢いよく空気を吸いすぎた。


『すぐ帰る。名前、深呼吸できるか?リオが帰ってくるかもしれないからそこにいろよ!』
「うん」


すぐに通話は切れた。急に足の力が抜けて、玄関の前に座り込む。やっぱりレオくんがいないとだめだ。