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そもそもわたしが学校を辞めたからといってだれが困るというんだろう。「そんなやついたな」「辞めたんだ」ぐらいの噂は流れるかもしれない。一日経ったらわたしの存在なんて始めからなかったことになる。そして、わたしのいない学校生活が流れていく。
だったら何も言わなくてもいい。わざわざ自分から妙な発言をして、周りに変な印象を与える必要なんてない。


「名前、聞いてる?」


名前を呼ばれてハッとした。意識を現実に引き戻すと、目の前でお兄ちゃんが首を傾げている。そうだ。お兄ちゃんと夕ご飯を食べていたんだ。


「今度の日曜日あいてるよね。事務所の先輩主催のパーティーがあって、名前にも同伴して欲しいのだけど」


そういえば先日もそんなことを言っていた。聞き流していたけど、本当にわたしを誘っていたんだ。パーティーなんて浮かれたもの、わたしには不釣り合いすぎて考えることもしなかった。


「わたし、人が多いところはちょっと」


お兄ちゃんならそんなことぐらいわかってくれているはずなのに、わたしを困らせるのを楽しんでいるみたいで嫌だ。


「大丈夫。僕の隣にいてくれるだけでいいから。それに小さなパーティーだからね、そんなに気負う必要はないよ」


パーティーの大小なんて関係ない。そこに一人でも知らない人がいるなら、わたしには命がけの舞台だ。休日ぐらい休ませてほしい。


「いいよね?」


なんて心の中であれこれ考えていても言葉にださなければなんの意味もなく。


「……はい」


頷いてしまったことをわたしは後悔する。


*


「…………」


――全然小さくない!

という心の叫びもお兄ちゃんには届かず。
お兄ちゃんに連れられてやってきたのは大きなガラス張りのイベントホールだった。中庭にプールまで備えられている豪華な建物。それらしいシャンデリアや赤い絨毯が目に痛い。どこが小さなパーティーなの。こんなパーティー、ドラマでしか見たことがない。どうりで正装を強いられたわけだ。


「お兄ちゃ」


やっぱり帰る。
と言おうとして振り向くと、そこにお兄ちゃんの姿はなかった。さっきまで隣にいたのに……!

周りを見渡すと、たくさん人の輪の中にお兄ちゃんの姿をみつける。お兄ちゃんはそこにいるだけで人を集める。小さい頃からそう。隣にいるだけでいいっていったのに、これでは隣にいることもできない。

わたしは込み上げてくるお兄ちゃんへの怒りをぶつけることもできず、会場の真ん中で立ち尽くす。人の視線が痛い。あの子、だれ。なんでここにいるの。なんて、言葉が聞こえるような聞こえないような。どうしてここにいるのかなんて、わたし自身が一番理解できてない。

とりあえずこんなところにいたら寿命が縮まりそう。
場所を移動しようと足を踏み出した途端だれかと肩がぶつかる。


「すみませ」


謝ろうと顔をあげて、呼吸が止まった。
ひっ、という声を飲み込んだか吐き出したかわからない。だって、そこにいたのは、


「驚いた。珍しい場所で会うね」