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朝、目が覚めると、太陽の光より先にリオの顔が飛び込んできた。


「ママ、おはよう!」


リオ、おはよう。今日も元気だね。

彼女は幼稚園の制服に着替えて、黄色い帽子もかぶっている。朝の準備はばっちりだ。


「あのね、ようちえんがおわったら『ごめんなさい』するからね、まだおこらないで!」


わたしは何も言っていないのに、リオは一人で慌てていた。なんだろう。ごめんなさい、って。やっぱり昨日キッチンが……いや、今は考えないでおこう。


「ようちえんいってくるから、ママはおるすばんしてて!」


そうだ、幼稚園つれてかないと。リオの送り迎えはわたしの仕事だから。

起き上がろうとすると、リオの背後の扉からレオくんが顔をのぞかせる。


「元気そうだな、名前!よかった!リオのこと送ってくるから」
「いいの?お弁当は?」
「パパが作ってくれたよ!」


レオくん、いつの間にそんな立派なパパに……
泣いてる場合じゃないな。

体も重くないしこの分だと熱もなさそうだけど、今回は無理せずレオくんに任せよう。


「ありがとう。いってらっしゃい」
「いってきま〜す☆」


手を振って送り出すと、リオとレオくんはでかけていった。レオくんは幼稚園の先生とかお母さんたちに人気だからなぁ。そういう意味でも心配なんだけど。


いつまでも寝ていると逆に体を痛めそうなので、起き上がってリビングに向かう。

リオの「ごめんなさい」の意味が知りたかったものの、意外なことにキッチンは無傷だった。むしろ片付いている。わたしの中でレオくんの株が急上昇中だ。


ホッとしてリビングの壁を見る。

あ。そういうことか。


「……怒るわけないじゃん」


我が家ではもう見慣れてしまった壁の動物園。そこにパンダとゴリラが仲間入りしていた。ふふ、インスピレーションが湧くと夢中になっちゃうところ、レオくんにそっくりだよね。

リオが帰ってきたら上手に描けたね、って褒めてあげよう。