「パンダだ!パンダ!しろとくろ!わー☆」
今度はパンダに夢中。変わった動物が好きなリオにしては、かわいい動物だ。
リオが好きなら、それがどんなものであっても彼女から取り上げるつもりはない。好きなものを好きといってほしいから。
「ママ、パンダすき?」
ぼーっとしてたら急にリオが話しかけてくる。
ああ、うん、そうだね。
「すきだよ」
隣にいるレオくんはあれからずっと手を離さない。不思議と、手を繋いでもらったほうが落ち着く。
「リオ、そろそろおうちに帰るか?明日も早いだろ?」
「うん!かえる!」
急なレオくんの提案に、リオは元気にうなづいた。
でも、まだパンダの絵描いてないよね。
「パンダさん、もういいの?もうちょっとゆっくりしてったら?」
「リオ、もうおぼえたよ!パンダはおうちでもかける☆」
それは、レオくんより天才だ。
「やっぱりリオは天才だな☆よし、行くぞ、名前」
「うん」
家に帰ったらゆっくり休みたい。
*
「ちょっと待ってろよ!すぐ戻ってくるから!」
「ママ、あとでねー!」
「ゆっくりしてきてね」
おみやげ売り場の前で二人に手を振る。
わたしは近くの休憩スペースに座って足を休めた。
思ったより疲れたかも。体が重い。
動物園、楽しかったな。わたしも一緒に思いきり遊べたらよかったけど。
まあ、リオもレオくんも喜んでたし、それが見れただけ満足だ。
しばらくすると二人が戻ってきた。
「みて!パパがゴリラのぬいぐるみかってくれたー!」
そうきたか。予想してなかったよ、ゴリラは。
「それで、これはママに!パパとリオから!」
そう言って大きな袋を渡してくれる。
中を見ると、パンダのぬいぐるみだった。
「パンダ……」
「ママ、げんきでた?またどうぶつえんこよーね!パパとママとリオで!」
……ごめん、泣きそう。
わたしが一人で感動してるのを、レオくんは楽しそうに見ていた。
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