×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

「はい、あ〜ん」
「あ〜ん」


『皇帝』の膝の上でケーキを食べているのは、朔間名前、5歳。


「ふふ、名前は美味しそうに食べるね。雛鳥に餌をやっているみたいで楽しいよ」
「えっちゃんもたべる?」
「僕はいいよ。見ているだけでお腹がいっぱいになりそうだ。こっちのも食べるかい?」
「うん」


ショートケーキの次はチョコレートケーキ。
生徒会長の机の上には、書類……ではなく、さまざまな種類のスイーツが並んでいた。
それを見て、副会長が眉間に皺を寄せる。


「英智、あまり名前を甘やかすな。甘いものばかり食べさせていると虫歯になるぞ」
「敬人は心配性だね。名前はいい子だからたまにはご褒美をあげないと。お兄さんたちには怒られてしまいそうだけど」


と、言いながらも英智は機嫌がいい様子。
その膝の上でなにも知らずにケーキを食べている名前も呑気なものだった。

そこへ、噂をすればなんとやら。
生徒会室の扉が勢いよく開いたと同時に、名前の兄が顔をだした。


「名前〜!やっぱりここにいた……」
「りつにい!」
「やぁ、凛月くん、珍しく元気だね。どうしたの?」


突然の訪問者にも顔色一つ変えない英智に、兄の登場に目を輝かせる名前。
そして、機嫌がいいとは思えない凛月。


「いくらエッちゃんでも名前は渡せない……俺が寝てる間に名前を誘拐するなんてさ」
「誘拐なんて人聞きが悪いな。名前がケーキを食べたいっていうから仕方なくいうことを聞いてあげたんだ。お礼を言ってほしいぐらいだよ」


と言いつつ、フルーツケーキを一口分切り取って名前にあげる。
名前はその険悪なムードにもなんのその。
気にせずケーキを味わっていた。