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- ナノ -

夢ノ咲幼稚園アイドル科では、定期的にお遊戯会が開かれる。
そこでパフォーマンスを競い合って、見事優勝したユニットには、ご褒美のおやつが進呈されるのです。
……ただのお菓子争奪戦じゃんそれ。
幼稚園児だからね、血生臭い戦いは似合わないもんね。

そんな独自のイベントがあるせいで、この幼稚園は他の幼稚園とはちょっと違うの。
お遊戯会にでるにはユニットを組む必要があって、年齢も関係なく、アイドル科の子たちで好きなように組んでるんだけど。

司くんは確か『ないつ』だったよね。


「よし、先生がレオくんを探してきてあげるから、司くんは先に練習してていいよ」
「わかりました。ありがとうございます、名前せんせい」


それでは、レオくんを探しに行きましょう。

……そのまえに、あそこで寝転がっている凛月くんを回収しに行きますか。






「凛月くーん、そんなところで寝てたら踏まれるよ」


ほんとにどこでも寝る子だな、この子。


「あぁ〜……じゃあ名前せんせいがだっこしてよ」
「嫌だよ、自分で動きなさい」


凛月くんはすぐ甘えてくるから困る。
わたしは他の先生みたいに優しくないからね。厳しいのよ。


「ていうか、凛月くんも『ないつ』よね?いまからレッスンがあるらしいけど、こんなところで寝てていいの?」
「れっすん……?ああ、そんなのあったかもねぇ……ねむいんだけど」


年下の司くんがはりきってるんだから、君も頑張ろうよ。
とりあえず寝ころんだままぐだーっとしている凛月くんの手を引っ張って起こす。


「ほら、起きて。こんな部屋の真ん中で寝てたらほんとに踏まれるよ」


さっきから千秋くんたちがヒーローごっこしてるし、あれだけ走り回ってたら気づかないうちに踏まれてもおかしくない。


「いやだ、だっこしてくれるまでうごかない」
「抱っこしたら余計動かないでしょ、きみ」
「じゃあいいよ、ここでねてるから……」
「ちょっと」


せっかく起き上がらせたのにまた寝転がったし。
司くんと約束したのはレオくんの捜索だけだったけど、ついでだから仕方ない。


「わかった。そのかわりレッスンはちゃんとしてね」
「わ〜い……♪」


わたしが手を広げた瞬間抱き着いてきたし。
動く気なかったじゃん、いままで!

このままだと時間が経つだけなので、凛月くんを抱っこしたままレオくんの捜索に向かうことにした。