「わはは☆すごーい!ぞうさんだー!」
今日はリオの希望で動物園に来ました。
「パパ、みてみて!ぞうさんおおきい!」
「ほんとだな!リオはちっちゃくてかわいいぞ!」
もちろん、レオくんも一緒です。
久しぶりの家族3人でのおでかけ。動物園にはリオがもっと小さいときに遊びに来たことがある。きっとリオは覚えてないよね。
正直なところ、人が多い場所はレオくんと一緒に歩くのをためらうんだけど。今日は変装してくれてるし、大丈夫かな。
「ぞうさんみてたら『いんすぴれーしょん』がわいてきた!」
とうとうインスピレーションまで覚えてしまったか。
クレヨン、クレヨン!と騒ぎ出すリオに、自由帳とクレヨンを渡す。
おでかけのときの必需品だ。
「ほら、これに描いていいよ。ぞうさん見るの初めてだもんね」
「うん!ママありがとー!だいすき!」
実物を見たことないのに立派なぞうさんが描けるんだから、本物を見た今ならもっと上手に描けるんじゃない?
「おれも妄想が広がる!……けど、ここで書いたら名前に怒られるよな」
全部聞こえてるんだけど。
用意しておいたノートをレオくんにも渡す。
「はい、レオくんの分」
「おお!名前、ありがとー!やっぱり大好きだ!愛してる☆」
相変わらず大好きと愛してるの大安売りだ。
作曲とお絵描きに没頭し始めた二人を横目に、わたしは近くのベンチに腰掛けた。
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