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「あんた自己管理もできないのぉ?自分のことぐらい自分で面倒みれるようになってほしいよねぇ?」


急に押しかけて来た先輩は、有無も言わさぬ勢いでわたしをベッドに追いやった。わたしは先輩の圧力に負けてベッドに逆戻り。なんでこんなことになったんだ。

確かに電話で「風邪を引きました」とは言ったけど。まさか家まで来るとは思わなかった。


「先輩、文句言うなら帰ってください」
「はあ?俺が看病してあげるって言ってんのに追い返すわけぇ?何様のつもり?」


どっちだよ。自分のことぐらい自分でしろってさっき先輩が言わなかった?自己管理するから帰ってほしい。

わりと本気で命にかかわることなので、はっきり言わせていただきますけど。


「先輩の声が耳に響いて余計に悪化しそうです。おとなしく寝たいので協力してください」


先輩を刺激しないようにできる限り静かにお願いする。熱が上がったら先輩のせいだからな。

さすがの先輩もわたしの言葉にしばらく黙り込んで、深くため息をついた。自分の声がうるさいって自覚あったのかな。


「ったく、俺に口答えするなんてあんたも度胸があるよねぇ。……わかった。大人しく寝て、早く治しなよ」


え、気持ち悪い。そんな優しいこと言う先輩なんて今まで見たことない。先輩のほうが熱があるんじゃないのか。

ともあれ、やっと静かになる。と安堵したのもつかの間。先輩がわたしに向かって手を差し出してくる。

ん?なんだ。まさか看病代を寄越せとか言うんじゃないだろうな。看病どころか、妨害しかしてないと思うんですが。妨害料を頂きたい。


「なんですか」


よくわからなくて素直に聞いてみると、無理やり手を繋がれる。

ふぁ!?!?
なぜ!?


「手繋いであげるって言ってんの」


はい?


「言ってないですよね、言う前に繋いできましたけど」
「いちいち一言多いんだよねぇ、あんたは!」
「先輩に言われたくないです」
「黙って、寝る!目ぇ瞑りな!」


怒ってるわりに、繋いだ手の強さは優しかった。先輩のツンとデレのバランスが絶妙すぎてやっぱり熱が上がりそう。


「ありがとうございます、先輩」


今日のところは大人しく感謝しておきますね。