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「#エロ」のBL小説を読む
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ある日。

みんなが自由に遊んでいるのを見守っていると、いつも作曲に夢中なレオくんが一人でぽつんと座っている姿が目に入った。
どうしたんだろう。
ずっと自分の手を見つめている。


「レオくん、手どうしたの?」


不思議になって声をかけると、レオくんの手は真っ赤に腫れていた。
え!?ほんとにどうしたの!?


「しもやけっていうんだって!おきたらあかくなってた!」


わたしの顔を見るなり、一瞬「あ!」と驚いたレオくんは、慌てて説明してくれる。
しもやけ、とはなんだか違うような気もするけど、レオくんがそういうならへたに詮索はできない。


「なんかばくはつしそうだ!いたい!せんせい、やさしくして!」


レオくんの目の前には五線譜とクレヨンがある。どうやら手が痛くて作曲ができなかったみたい。だから座ったまま動かなかったんだね。


「よし、じゃあ今日は先生がレオくんの手になってあげる」
「ほんとか?わははは☆せんせい、やさしいな!だいすきだ!」


レオくんの笑顔はいつもどおり向日葵みたいに元気だった。
よし、先生がんばるよー!


「じゃあ、名前せんせい、おれのかわりにかいて!その線のうえにおんぷをかくだけだから!」
「え、それは難しいな」


簡単な曲ならピアノで弾くこともできるけど、楽譜を書いたことなんてない。
しかもレオくんのインスピレーション?を形にしなきゃいけないなんて、責任重大だ。


「おれがいうとおりにして!まずはおたまじゃくしだ!」
「……全部おたまじゃくしに見えるんだけど」


無知なわたしに、レオくんは嫌な顔一つせず教えてくれる。


「これ」


小さな手でクレヨンを握りしめると、レオくんは見本に一つ音符を書いてくれた。
痛いのにごめんね。先生もがんばるから!


「そんでな、次はさくらんぼ!」
「あ、それはわかる。どこに書くの?」
「そのへんだ!」


え、どのへんだ?
迷って適当に書くと、レオくんはわはは☆と笑った。
なぜ笑われたのかよくわからない。


「次はひとりぼっちのやつ」


ちょっと、急に悲しくなるのやめて。


「こんな感じ?」


その後もレオくんの指示どおりに音符を並べていく。
出来上がった楽譜はなんだか不揃いで、どう考えても正しいメロディにはなっていなかった。


「ん〜、なんか違うけどこれもいいな!せんせい、ありがとう!たのしかった☆」
「力になれてよかったです」


でもレオくんはすごく嬉しそうに笑ってくれて、そのあとずっと完成した楽譜を見つめていた。
先生も楽しかったよ。もっと勉強しなきゃいけないね。