「よし、夕飯はこれでいいかな。お菓子買って帰ろっか。好きなの選んでいいよ」
お菓子売り場に連れていくと、泉くんはそんなものいらない、と首を振った。
「かさくんがあまいものばっかりたべるからねぇ。しばらくおかしはきんしだよ」
「え?子供なのにお菓子禁止なの?厳しい!」
司くんなんてまだ四歳ぐらいでしょ?
おやつぐらい好きなもの食べさせてあげようよ。
レオくんはわたしに手を取られたまま静かにしている。この子、こんなに静かにできるんだってぐらいおとなしかった。来た時はぴょんぴょん飛び跳ねては、あっちへキョロキョロ、こっちでインスピレーション!って感じだったのに。
「なにか買わない?わたしプリンが食べたいな。明日のおやつにしよう」
お菓子売り場を離れてデザートコーナーに移る。わたしはプリンが大好きなので、たとえ禁止されようともこれだけは譲れなかった。
「おれもそれがいい」
すると、レオくんが漸く口を開く。
プリン好きなの?
目線を合わせて聞いてみると、こくんと頷いた。
まだ目元が赤いけど泣き止んだみたい。
そうかそうか、プリンが好きなんだ。それはいいこと聞いた。
「じゃあ夕飯のあとに一緒に食べよっか」
「……あいつらのぶんも」
「そうだね、みんなの分も買っていこう」
口を尖らせていた泉くんも、レオくんの要望なら文句はないようだった。
ちょっとは元気がでてきたかな?
ぎゅっと、繋いだ手の力を強められて、わたしも握り返してあげる。大丈夫。レオくんは一人じゃないよ。
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