×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

「ママ、チョコつくる?」


幼稚園にお迎えに行った帰り道、リオが突然聞いてきた。
なんでまた急にチョコなんて。とうとうリオもお菓子作りに夢中になる時期がきたのかな。女の子だもんね。


「チョコ?」
「うん!もうすぐ、ばれんたいんっていって、すきなひとにチョコをあげるひなんだよ!リオもチョコほしい!」


そう言って両手を上げてぴょんっと飛び上がったリオを見て思い出した。
そうか、そういえばそんな時期か。普通に忘れてた。お友達に教えてもらったのか、説明してくれるリオは得意げだ。


「リオが食べたいんでしょ」
「リオは、のこったやつでいいよ!」


なんて言ってるけど、ほんとは自分が一番食べたいんだね。お母さんにはわかります。


「ママもパパにチョコをあげたら、すきっていえるかも!」


リオが、わはは☆リオってば天才!と口にするのを隣で見つめる。
天才だね、本当に。よくわたしのことを見てる。一瞬どきってしたよ。


「ありがとう、リオ。一緒にチョコ作ろっか」
「うん!あ、リオはにがいチョコはだめ!あまいのがいい!」


急に真剣な顔でそんなことを言いだすから笑ってしまう。ミルクチョコがいいってこと?ふふ、やっぱり食べたいんだ。


「リオのじゃないでしょ?」
「でも……リオもたべられるやつがいいな」


そんな風に上目遣いで訴えられたら頷くしかない。本当に父娘そろって顔がいいから困るよね。