「女の子なんだしさ。来年から小学校だし。クラスで浮いてお友達ができなかったらどうしよう、っていうわたしの不安をわかってくれる?」
「う〜ん、まあ、確かにそれは心配だな」
お。
珍しく常識的な思考が?
いや、レオくんは基本常識的なんだよ。
たまにおかしいだけで、言葉が通じない宇宙人ではないの。
「レオくんも協力して。リオの前では変なところに作曲しない。ちゃんと紙に書く。リオはレオくんの真似ばかりしたがるから。おねがい」
真剣に頼んでみると、レオくんは静かに頷いた。
「わかった。努力する!」
よし、こっちはこれで大丈夫かな。
あとはリオにちゃんと教えないと。
*
怒ったわけじゃないんだけど、あれからシュンとしてるリオのもとへいく。
はなしがあるの、と伝えると、おとなしくわたしの前に座ってくれた。
「リオ、パパの真似しちゃだめだよ。壁に絵を描いちゃだめなの。パパはなんか書いてるけど、あれはいいことじゃないんだ」
リオと目を合わせて、できる限り優しく伝える。
絵を描くのはいいことだもんね!もっともっと描いてほしいの!
「でも、パパがいってたよ。おもいついたらすぐかかないと『めいさく』がきえるって」
あの野郎……
いや、落ち着け、わたし。
「そうね。でも天才はちゃんと紙に書くから。パパはダメな子だけど、リオはいい子だもんね?ママとの約束守れそう?」
「うん!まもる!」
元気よく頷いてくれたけど、顔が似てるせいで、不安でしかない。
ほんとに、小さいレオくんみたいだ。かわいいな。
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