「わー……」
洗濯物を終えてリビングに戻ると、壁に広がる動物園。
じゃなくて、落書き。
さる、きりん、ぞう、かば、これは……フラミンゴ!?
ちょっと目を離したすきにこれか。
「なんでしょうか、これは」
楽しそうにはしゃいでいる娘のリオちゃんに、聞いてみる。
彼女の手にはクレヨンが握りしめられていて、いまも新しい力作を生み出しているところだ。
それは、うさぎさんかな?
女の子らしくていいよ。
そういうの書こうよ、どうせ書くなら。
っていうのは、置いといて。
「ママ!リオすごいんだよ!てんさいなの!」
「そうね。リオは天才だよね。ママの娘だもんね。パパの娘でもあるけど……」
どちらかというと彼の遺伝子のほうが強い気がする。
顔はわたしに似なくてよかったけど、似なくていいところまで彼に似るとは。
「ママ、おこってるの?」
リオが不安そうに首を傾げた。
う、娘のこの顔に弱い。あの人に似てるから。
そうだよね、リオはパパの真似をしただけだもんね。
おかしいことなんてしてないもんね。
「ううん、ママが怒ってるのはパパのことです」
「?」
わたしがそう言うと、リオは意味がわからないといった感じでさらに首を傾げた。
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