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旅行当日。母とゆかいな仲間たちは元気に我が家を旅立っていった。

残されたのは五人の幼稚園児と、女子高生が一人。
わたしたちは小人と白雪姫なんかじゃない。
だからこの物語の行く末がハッピーエンドになるかどうかなんてまだわからないの。

ここで冒頭に戻ります。


「こんにちは。名前です。今日からみんなを預かることになりました。よろしくお願いします」


それぞれ好き勝手している子供たちの前に立って話しかける。
挨拶は基本ですから!
相手が幼稚園児だろうと、第一印象は大切だよね。


「名前ってよべばいいのか?」


意外にもオレンジ髪の男の子が一番最初に駆け寄ってきてくれた。
よかった、元気そうな子だから、わたしの話なんか聞いてくれないかと思ったよ。
さっきまでずっと窓の鍵を開けようとしてたの、バレてるからね。逃げる気か。


「いいよ、それで」


途端に、名前だ!名前!と、なぜかお祭り騒ぎになる。
人の名前で騒がないでください!
小さい子は些細なことで盛り上がるからよくわからない。

すると、赤髪の男の子がトコトコ近寄ってきてわたしを見上げた。
みんなよく見るとかわいい顔をしている。


「おねえさま、とよんでも?」
「好きにしてください」


なんか恥ずかしいけど。
それを見て、床に寝転がった状態で、黒髪の子が片手をあげる。


「じゃあ、おれはおかあさんってよぶ〜」
「やめろ」


わたしこう見えても現役女子高生だから。
せめてお姉ちゃんにして。おばちゃんでもいいから。


「このへやちゃんとそうじしてる?ここにほこりがたまってるんだけどぉ?」


灰色の髪の子がテレビの台をすーっと指でなぞってぶつくさ文句を口にした。
おまえは小姑か。