※ぬっるいR18表現あります





▼15.BLACKCRYSTALの輝き



呆然とする早苗に向かって、ビシッとシャイニング早乙女の人差し指が向いた。


「特にYOU!ミス白崎」

「私、ですか」

「よくぞ一番感情表現の苦手だった一ノ瀬に、ここまでの笑顔を教えてくれた。そして一ノ瀬、お前に恋い焦がれ慕い合い、尊敬しあえるパートナーが現れたこと、製作者としても誇りに思うぞ」


突然真面目になったシャイニングに動じることなく、トキヤはすっと早苗の肩を抱き寄せた。


「早乙女さんには感謝しています。日本という国に私を置いてくださったことを」

「幸せに、なるんだぞ」


言うと、最後にどこからともなく7色の薔薇を大量に振らせて消えた。全くもって何が何だか分からないが、1つだけ早苗にも予想できたことがあった。ふうーん、と、翔の意地悪そうなほほ笑みが目の前に現れる。


「ふぅーん、白崎、お前トキヤのパートナーってそういうパートナーだったのかぁ」

「いいないいな〜俺も早苗のパートナーになりたいなぁ」

「黙りなさい音也、潰しますよ」


音也と翔の年少組は黒い羽で目隠しされ、からかわれたのが気に食わないのかトキヤはさらに早苗を抱きしめた。もちろんそれは早苗も嬉しいのだが、なんにせよ人前では恥ずかしい。


「まぁ、イッチーとレディなら幸せになれるさ。」

「早苗さんの心が決まっているなら揺さぶるようなことはしませんが、これだけは覚えておいてくださいね。恐らく、僕達人間とドールの寿命は違う」

「分かっていますよキーアさん。早苗がこの世から居なくなることがあればすぐに後を追うつもりです」


キーアの腰を抱くレンは二人で添い遂げることを決めているらしく、清々しいほど晴れやかな笑顔で早苗たちを祝福してくれた。
今の今まで、トキヤと一緒になれるとは思っていなかったし、寿命のことだなんて頭が回って居なかった。早苗はこれからどうするか話したいと言ってトキヤを控室から連れだした。

二人は文化祭で周囲に人目のないのを良いことに旧校舎の最上階、初めてトキヤが「守る」と誓った部屋に入った。相変わらず古臭くてでも汚いわけではない部屋に二人で座り込む。
手をつないだまま暗幕の山に座り、早苗はことんとトキヤの肩に頭を乗せた。その上にトキヤもまた頭を預けてくれてた。


「早苗、私は正確には人間ではありません。人間の姿で居ることは普通に出来るようになったようですが…」

「トキヤは何を心配してくれてる?」

「…私よりも、普通の人間の男性と結ばれる方が幸せになれるのではないかと」


その声は思っていた以上に淋しげだった。あれほど人前で見せつけておきながら、とも思ったが不安だからこそああして全員の前で抱き寄せたのかもしれない。


「人間の姿になれなくたって、人形だってトキヤのこと思ってた。だからむしろ嬉しい、ちょっとでもこうやって甘えられるようになったから」

「早苗…」

「だからお願い。トキヤは誓ってくれた。だから…言われたい。私はトキヤが…っ」


すきだよ、そう言おうと顔を持ち上げると、唇が塞がった。味を確かめるように唇を舐められて、下唇を柔らかく噛まれる。そのうちトキヤの両腕が腰の後ろにまわり、彼の足をまたぐように座らされた。
衣装のミニスカートのままなので、どうにも心もとない。


「先に言わないでください。」

「あ、え?ごめん…」

「愛しています。…んっ」


私も、と言いたいのに中々開放してもらえない長い、そして甘いキスに早苗はここが学校だということも、今日は文化祭だということも頭から抜け落ちた。自分からトキヤの首に腕をかけて、もっとと強請るように舌を差し出す。
ちゅぅっと吸われた舌先に背筋が続々とうずく。厭らしく互いの唾液を混ぜあいながら、トキヤの腕はさらに腰を抱き寄せた。必然的に足は開いていき、トキヤの主張を始めている根が早苗に触れた。
あぁ、また愛してもらえるのか。
そんな期待で下着にどんどんと液体が零れていき、思わず自ら腰を動かした。くちゃり、と自分から音がして、触れているトキヤのそれもピクリと反応した。


「っ、早苗、あまり煽らないでください…我慢が効かなくなります」

「良い、今は目一杯愛されたい」

「今はと言わず、毎晩優しく愛して差し上げますよ。ですが…今日ばかりは私も優しくは出来ないかもしれません…」


噛み付くようにキスをされ、足の付根あたりから下着の中に指が入り込んで溢れ出る蜜を掬っては陰核に塗りつけるように刺激する。優しく柔らかい快感に自然と腰が動いた。


「ああ、素敵ですよ、その表情…」


誘われるがままに腰を揺らし、口を吸いあわせ、全身への愛撫を受けて声をあげる。一度強く陰核を押されて、早苗は後頭部から全身が溶けてしまうのではないかという感覚を味わった。


「さて、自分だけ気持ちよくなった悪い子には、お仕置きですね」

「ちょ、トキヤ…待って……」

「こんなに乱れた君を見て、冷静で居られるほど出来た人間ではありません」


荒い息を隠そうともしないトキヤに暗幕の上に押し倒された。下着を脱がされて、スカートの中がスースーする。もちろん脱がされただけでなく、大量の水気のせいでもあるのだから羞恥心でさらに溢れ出るそれを感じた。
お仕置きというからにはすぐに入れられるものと思ったが、トキヤはただ開かせた足の間をじっと見つめ、楽しげに微笑んだ。


「良い眺めですね、美しい」

「や、やだって!見ないで…」

「行けませんか?もう何度も見ているというのに…」

「こんなにしっかり見られた覚えはない!」

「仕方のない人ですね…」


更に楽しげに言うと、トキヤは早苗の足の間に顔を埋めて蜜壺に舌先を突っ込むようにして溢れる液体を吸い始めた。


「っっ!?」

「あぁ…甘い……もっとください、早苗…もっと、もっと…」

「ちょぅ、頬ずりとか…っんあああっ、や、め」


内腿に頬ずりされるたび、トキヤの鼻先が陰核に掠めてもどかしい。干からびるのではないかと思う程に舐められ、吸われするうちに、早苗は潮を吹いて数回達っせられた。
もう抵抗出来るほど体に力が入らず、トキヤにされるがまま彼の腰辺りにまたがった。トキヤの根は既に痛そうな程に主張しており、自主的にベルトを外してズボンと下着とを少し脱がせると根は嬉しそうにぶるんと外界へ飛び出てくる。その男性の匂いのようなものに誘われて、早苗は自ら蜜壺へと先端を宛てがった。


「今日は…積極的ですね」

「焦らすトキヤが悪い」


先端と蜜壺の入り口とをこすり合わせると、直ぐにも彼も先走り互いの愛液を混ぜるように動かす。耐え切れなくなったのか、トキヤの両手が早苗の腰を捕まえてゆっくりと下へ下ろし始め、いつも以上の質量の侵入に早苗は大きく声を上げた。


「や、あぁああっ!」

「はぁっ…」


もちろん、いつも早苗に「してあげる」という態度でいるトキヤが騎乗位などのこうして早苗が上にくるような仕方はまず無かったし、早苗が他の男性とこういう関係になったこともない。
初めて下からグイグイと突き上げられる感覚に、早苗はまた小さく達した。


「あっ…」

「おや、またですか?本当に可愛らしい…」

「う、だってトキヤが…あぁっ」


下から突かれて喘ぐ早苗の姿を楽しむトキヤに悔しさがつのり、早苗は残る力で蜜壺をぐっと締め付けた。ほとんど疲れで抜けた力でどれほど締まったのかは分からないが、トキヤは意外にもしっかりと反応を示してくれた。


「っく…ああ、早苗……」

「や、だめ…おっきくならないで…」

「無理を言わないでくださ、い。私の手によって喘ぐ君は…これ以上ないほど扇情的です」


色っぽい喘ぎをあげて、質量を増したトキヤに早苗は耐え切れなくなって抱きついた。体力の限界を見て取ったのか、トキヤは繋がったまま上下を入れ替わると、いつものようにそっと寝かせた状態で突きあげはじめる。
厭らしい水の音と自分とトキヤの喘ぎ声と、それから時折囁かれる「早苗」と呼ぶ声と「愛しています」という言葉に早苗は快楽の絶頂を迎えてトキヤの根をしっかりと締め付けた。
それにつられるようにトキヤもまた出来るだけ奥に自身を押しこみ、行為によって降りてきていた早苗の最奥へキスをするかのように精を吐き出した。







中に数回吐き出されたトキヤの精は彼の手によって後処理され、すっかり動けなくなった早苗はされるがままになっていた。そういえばもとがドールであろうとも今の体は人間で、そんな状態で所謂中出しなる行為をしてしまったら問題にはならないだろうか?と気がついたのはついさっきだ。
もちろん、今更何を思おうと病院へ行く時間も体力もお金もなく全くのすべてが後の祭り状態なわけだが。


「何を一人で青くなっているのです?…体が…辛い、ですか?すみません、らしくもなく、その、あんな仕方を…」

「いや、確かにこれもう今日は動きたくないけど大丈夫。それよりも、その、あれだ。トキヤって本来の姿はドールでしょう?」

「そうですね」

「でも今の姿は人間で、血も涙も体液もあるでしょ?」

「そう…ですね」

「つまりさ、結構ヤバイんじゃないかなーと」

「……その辺りのことはむしろキーアさんの方が詳しそうな気もしますが…あの方の所にはレンが居ますからね、あまり聞かれたくはない…。それで、早苗は…月の…ものは正しく来ているのですか?」

「今のところはね」


トキヤはあからさまにホッと息をついたが、早苗は丁度きたキーアからのメールに気づき、そして当面の問題に気づいた。


「『やぁレディ。イッチーとのお楽しみは終わったかな?
 もし立てなくなるようなことになったらイッチーに背負ってもらうのが良いよ。
 ついでにご両親に顔を見せたらどうかな。
 それと、体温は毎朝測るようにするんだよ、子羊ちゃん』
 ……神宮寺からだ…」

「あの馬鹿は…」


何からなにまでお見通しの様子のレンからのメールの次は、「友千香と七海も感づいているようなので3人で帰る」というキーアのメールで二人は深く深く幸せまじりの溜息をついた。











---- 〜♪


早苗のもとに一通のメールが届いた。キーアからの迎えに行くよという内容だった。早苗はそれを見てもう病院へ行く時間かと鞄を持った。トキヤは今日は仕事に行っていて着いては来れない。
家の外に車が止まった音がして早苗もぺったんこの靴を履いて外にでた。


「早苗!」

「キーア、いつもありがとう」

「気にしないでください」


早苗と同じく妊婦だというのにキーアは編み上げブーツでお腹に負担でないのかと聞いたところ、いつも通りにしてるほうがストレスがないのだと返ってきた。車の運転手はレンで、レンもトキヤと同じようにもう人間として生活している。


「こんにちは、レディ。」

「神宮寺久しぶり。そっちの仕事はどう?」

「お陰様で、メジャーデビューまで決まったよ」

「おお!おめでとう!」


ありがとうと笑うレンの車にはサックスのジャズがかかっている。恐らく彼の演奏であろうそれは異様に艶っぽい。

あの高校2年生の文化祭から7年。早苗はキーアと二人で協力し、ドールたちの戸籍を獲得した。その辺りはキーアのツテと機転の良さ、それから法律への知識で乗り越えた。
真斗は七海の家で、音也は友千香の家で。トキヤは早苗の家に来て、その他のドールたちは一人暮らしのキーアの元へと身を寄せている。

それぞれが歌手やモデル、楽器の演奏者として働きながら、レンとキーア、トキヤと早苗は去年、高校卒業から8年で入籍した。結婚記念日が同じというのはなかなか大きなことなのか、二人は偶然にもほぼ同時期に子供を授かった。今日も二人で通院で、そろそろ子供の性別がはっきりと分かる頃だ。





その病院の帰り、仕事終わりのトキヤと合流した早苗は、二人で少し寄り道をして帰ろうとモール街へ来ていた。


「そういえばね、女の子だって」


病院で聞いたことを言うと、トキヤはふわりと微笑んだ。


「早苗に似て、甘えん坊の可愛い子になるでしょうね。文系は得意で…理系は全く駄目な…とても愛嬌のある子に」

「どうだろうね、トキヤに似るかもしれないよ。そしたら何でも自分で出来ちゃって母親の面子がたたなそう」


手を繋いで歩きながら、一人の時よりも狭い歩幅で歩いてくれるトキヤに早苗はふにゃっとした笑顔を向けた。
子供が出来てからは、当然ながら性行為は無いし生まれてきてしまったら子育てでトキヤと一緒に出かけるなんて無理だろう。母として嬉しい半分で、妻としては少しばかり寂しくもある。
それが顔に出たのか、トキヤの繋いでいない方の手が頭のうえに乗せられた。


「そんな顔をしないでください。思っていることは言っていただかないと、私は超能力者ではないので」

「うん……子供が生まれてきたらね、トキヤと一緒にどこか行ったり、二人でゆっくり曲を作ったり、そういうことが出来なくなるなって。もちろん、この子が生まれてきてくれるのは嬉しい。」


言うと、トキヤは足を止めて早苗の両肩を掴んだ。いつも以上に柔らかい笑顔で、額にキスが落ちてくる。


「ちょ、ここ街中…」

「聞いてください。」


何やら大事なことらしいと、早苗はトキヤを見上げた。


「早苗、君がして欲しいことならば何でも叶えたい。
 君が居なければ私はまだ暗い鞄の中で次の目覚めを待っていたかもしれない。もしかしたら今後一切誰かにネジを巻かれることはなかったかもしれない。そんな鳥かごの中の生活から外へと出してくれたのは、他でもない早苗なのです。

 私の一生を変えてくれた君に、私のこれからを全て捧げます。だから、この子が生まれたからといって、私に甘えることまで我慢しないでください」

「トキヤ…」

「それから、これは…いえ、これが、私から早苗へと贈る、改めて…プロポーズです」

「えっ?」


モール街の広場にあるモニターに、「CRYSTALTIME by一ノ瀬トキヤ」の文字が浮かび上がる。トキヤはまた一度微笑むと、何やらスタッフらしき人が持ってきたマイクを受け取った。


『シャイニング事務所所属、一ノ瀬トキヤです。今日は貴女だけに伝えたい…』


流れ始めたオケは、間違いなく早苗が作っていた曲で、いつの間にか彼が歌詞をつけていたことを知った。
街中を歩いていた若い女の子たちが足を止める。会社帰りのような男性も、夕飯の買い出しに来ているであろう主婦も。塾に入ろうとしていた学生も、足を止めてトキヤの曲を聞いていた。



---- 〜♪




そして、その場にいた女子高生が小さい声で「あの人、トキヤの奥さんじゃない?」と言ったことをきかっけに早苗に視線が集中してぽっかりと人の隙間が出来ている。
曲が終わり、トキヤに差し出された手に自分の手を重ねれば、ただ通りすがっただけの人たちから、おめでとうの言葉とそれから惜しみない拍手が湧き上がって。
早苗は小さく涙を流しながらトキヤに駆け寄った。


「トキヤ、私と出会ってくれてありがとう」

「同じ時代に、生まれてきてくれてありがとうございます、早苗」






トキヤEND FIN









2013/09/14 今昔

ローゼンメイデンのパロディということで、かなり特殊な設定でした。
なんといってもお人形ですからね!
書いて満足したので、次は悪魔の子のレンENDを終わらせてきます!
その後、MAIDENの黄色系男子ENDに行きたいと思います。
ここまでお付き合いいただきましてありがとうございます!





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